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ジューク、ハタチ

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丸山勇人さん=姫路市網干区
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丸山勇人さん=姫路市網干区

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丸山勇人さん=姫路市網干区

■会社員 丸山勇人さん(24)

 他人に話したら笑われるかもしれないけれど、自分にとってはとてつもなく大きな出来事がある。彼の場合は、それが「失恋」だった。「将来への希望を与えてくれたボクシングで生きていく」。その覚悟が崩れた、21歳の時。

 兵庫県太子町出身。小学生の頃に両親が離婚し、生活費に充てるため、高校入学直後からアルバイトに明け暮れた。「強い男になりたかった。けんかじゃなく、ちゃんとしたルールの下で」。高2から、知人の紹介で元日本スーパーフライ級王者、川端賢樹さん(47)のジムに通い始めた。「第二の父」とも慕う川端さんに鍛えられ、身長150センチほどの青年は、いつしかボクサーとしての将来を夢見ていた。

 2014年に全日本社会人選手権で準優勝、翌年も3位に入った。「仕事が終わった後、まじめに練習に向かう姿がかっこいい」。そう言ってくれる女性と交際を始めた。「初めて本気で人を好きになった。会長(川端さん)にも会わせたし、結婚も考えていた」

 突然別れを切り出されたのは、16年の同選手権直前。練習をさぼって家に引きこもり、泣きじゃくった。「おれ、こんな弱い人間なんや」。優勝を足掛かりにプロを目指すはずだったのに、1回戦負け。「ボクシングより彼女の存在が大きくなっていた。そんな人間が続ける資格はない」。川端さんに引退を伝えた。

 アパレル店に就職し、新たな目標を探した。でも、どこか満たされない日々。「ボクシングをやってる時が一番輝いてたよ」。中学からの友人に言われ、確信した。今、自分が最優先にすべきはボクシングだ。

 17年秋のある夜、ジムを訪ねた。「社会人選手権、必ず取ります」。川端さんに覚悟を伝えた。復帰後は練習試合を含めて9戦全勝。18年12月の社会人選手権に臨み、決勝で前年王者を破り、約束を果たした。今年11月下旬にはアマチュア最高峰の全日本選手権に、推薦での出場を決めている。

 家族、学校、そして恋愛。挫折を味わいながら、夢に向かってなんとか進んでこられた。「落ちる時はとことん落ちて、支えてくれる人に思いの丈をぶちまける。時間がたてば、どんな小さな目標であっても、次に向かって歩きだせばいい」。少し恥ずかしそうに放った言葉は、熱い右ストレートのように突き刺さった。(井沢泰斗)

2019/10/30

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