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いのちをめぐる物語

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 連れ添った人生の伴侶を失い、1人暮らしとなった「死別者」の数が増えている。2015年の国勢調査でみると、兵庫県内の65歳以上の死別者は約38万2千人で、高齢化の進行に伴って25年間で5割超増えた。大切な人を亡くした悲しみと、どう向き合うのか。医療や福祉の現場では、尼崎JR脱線事故や東日本大震災でクローズアップされた「グリーフ(悲嘆)ケア」の活動が広がっている。

 15年の調査で、県内の65歳以上の死別者は女性が約31万9千人(全体の約4割)、男性は約6万2千人(同1割)だった。一方、1990年の死別者は男女合わせて約24万5千人。5年ごとの調査で右肩上がりとなっている。

 全国傾向もほぼ同じ。15年の全国の死別者は約863万8千人で、団塊世代の高齢化によりさらに増える見込みだ。

 「長く生きれば生きるほど死別経験は増え、誰もが無関係ではいられない」と語るのは、グリーフケアに詳しい関西学院大人間福祉学部の坂口幸弘教授=臨床死生学=だ。配偶者に限らず大切な人との別れを経験すると、絶望や怒り、罪悪感などの悲嘆反応に襲われる。食欲不振や睡眠障害などもある。

 「病気ではなく自然な反応だが、一部に日常生活に支障をきたすほどの悲嘆もある」と坂口教授。悲嘆が複雑化する要因の一つに、孤立化もあるという。国立がん研究センターが18年に公表した初の遺族調査(回答数2295人)では、約17%が死別から1年以上経過しても抑うつ状態に悩まされていた。

 医療現場では、埼玉医大国際医療センター(埼玉県)が07年に全国初の「遺族外来」を開設。兵庫では神戸赤十字病院(神戸市中央区)などが取り組んできた。16年に「グリーフケア外来」を設けた淀川キリスト教病院(大阪市)の公認心理師、出崎躍(やく)さんは「大事なのは、まずははき出すこと。体験を話すことで、悲しみと距離が取れるようになる。そこから自分の生きる意味を自分で見いだしていく」と語る。

 グリーフケアは、在宅みとりに取り組む訪問看護ステーションや高齢者施設などにも広がり、17年には医療や福祉、宗教、葬儀関係者などが参加する「日本グリーフ&ビリーブメント学会」が発足。坂口教授や神戸赤十字病院の村上典子医師が理事を務めている。(中島摩子)

2020/3/5

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