医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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加古川中央市民病院医療監兼健康増進・ヘルスケアセンター長 石川雄一さん
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加古川中央市民病院医療監兼健康増進・ヘルスケアセンター長 石川雄一さん
神戸新聞NEXT
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 高齢者の定義は長い間「65歳以上」とされてきましたが、今はその目安が変わりつつあります。日本老年医学会は2017年、従来は「前期高齢者」だった65~74歳を「准高齢者」とし、75~89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」とする考えを提言しました。

 理由の一つは高齢者の健康状態が良くなり、70歳、80歳でも元気に働く人が多くなったこと。もう一つが平均余命の観点からです。1960年には65歳時点の平均余命が男性は11・6年、女性が14・1年でした。それが2010年には男性18・7年、女性23・8年になりました。この延びを踏まえると、今の75歳ぐらいが当時の65歳に相当する、との考えです。

 近年は100歳以上の人も珍しくなくなってきました。課題は、人に頼らず日常生活を制限なく送る「健康寿命」と、実際の寿命との差をいかに縮めるか。最近は少し縮まりつつありますが、それでも男性は約9年、女性は約12年の開きがあります。

 ポイントの一つが、血管を健やかに保ち、動脈硬化や糖尿病などを防ぐことです。「人は血管とともに老いる」とも言われます。今は動脈硬化や糖尿病も炎症の一種と考えられており、その炎症を抑えることが長寿の一因であることも分かってきました。

 そこで一押しするのが魚です。「EPA(エイコサペンタエン酸)」と呼ばれる魚の脂は、コレステロールや中性脂肪だけでなく、炎症を抑える効果もあります。過去の大規模研究で、純度98%以上のEPAが入った薬をコレステロール低下薬であるスタチン系薬剤に追加投与すると、動脈硬化に起因する心筋梗塞などの発症率を下げることが確認されました。

 認知症予防も欠かせません。そのためには運動です。といっても、特別なものではありません。日常の中で歩いたり、階段を使ったり。家事や庭仕事も効果的でしょう。大切なのは身体活動を増やすことです。また、認知症は早期発見、早期治療で進行を遅らせたり、ある程度改善させたりすることができます。「もの忘れ」が気になる場合は、認知症ドックなどの受診もお勧めします。

 コミュニケーションを増やすことや、生きがいを見いだすことも健康寿命を延ばすとされます。人生は「100年時代」です。他人のために何かをするのも、良いのではないでしょうか。

(聞き手・田中陽一、協力・兵庫県予防医学協会)

【いしかわ・ゆういち】1948年、岩手県で生まれ、小学生の時に兵庫県へ。神戸大大学院医学研究科修了。米ワシントン大留学や県立柏原病院内科医長、神戸大医学部教授、加古川市民病院長などを経て2016年から現職。

石川さんが勧める三つの作法

一、炎症を抑える食生活を。魚にはその効果がある

一、身体活動を増やし、コミュニケーションを図る

一、他人のために何かをし、生きがいを見いだす

100歳以上の人口

 厚生労働省によると、昨年9月15日時点の100歳以上は全国で6万9785人(男性8331人、女性6万1454人)。48年連続の増加で、20年前の6.9倍、10年前の1.9倍。兵庫県の100歳以上は2842人だった。

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