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終末期の迎え方について語る西村正二院長=神戸新聞東播支社
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終末期の迎え方について語る西村正二院長=神戸新聞東播支社

 神戸新聞東播支社主催のセミナー「終章を生きる」が9日、兵庫県加古川市加古川町北在家の同支社であった。「安心できる地域ケアを考える会」代表で、西村医院(同市)の西村正二院長(71)が「在宅医療、在宅看取りの現場から」と題して講演。同市の竹裏由佳さん(51)によるエンディングノートの解説もあった。3回に分けて詳報する。1回目は西村院長の講演から。

     ◇

 1990年に医院を開業し、がん末期患者の在宅の緩和ケアなどに取り組んできた。「人生100年時代」の言葉には、明るい響きもあるが、そんな楽観的に考えて良いのかという不安がある。死を旅立ちと考えると、亡くなる時のことを考えたり、話し合ったり、旅行前のような準備をする必要があるのではないか。

 日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳だが、介護などを受けて過ごす期間は平均で男性が約9年、女性は約12年ある。(元気に長生きし、苦しむことなく突然亡くなる)ピンピンコロリはめったにない。高齢者の平均的な体の変化としては、75歳までは元気で、80歳前後で買い物に行くのが難しくなり、80代前半で介護が必要になる。

 ある都市で施設から救急搬送された高齢者のうち、20%はその日のうちに、60%は短期間で亡くなっている。ほとんどの人は(どんな形で最期を迎えたいかなど)自らの意志を表明できないまま搬送されていた。

 高齢者の8割は延命のみを目的とした治療を望んでいない。また「どこで最期を迎えたいか」との問いには約55%が「自宅」と答える。だが、現実には約75%の人が病院で亡くなっており、自宅は約13%にすぎない。本人の思いとはギャップがある。終末期の在宅ケアが十分行われていないからではないか。

 延命治療に関しては、6割以上の人が事前に家族との話し合いを全くしておらず、十分に話しているとするのは約5%しかない。

 家族は「本人のため」と言いながら、患者の尊厳を損ない、体に負担となる医療を求める場面が見られる。実際にあった例で、高齢女性が老衰で食べられないのに、子どもが「本人は100歳まで生きたいと言っていた」と言い、暴れるのも構わず点滴などを行った。本人が何も話せず、家族の意向だけで決まる治療は結構ある。

 今後より多くの高齢者が直面する問題で、曖昧なまま放置することはできない。どうすれば良いか。本人が意志を伝えられない状態になった時、代わりの人が「日頃こういう医療やケアを望んでいた」と、医療関係者に伝えられる仕組みが大事になる。高齢者の希望を家族らと共有しておくのが「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)」。ぜひともこの取り組みを確立していかねばならない。(まとめ・切貫滋巨)

【にしむら・しょうじ】1949年、青森県八戸市出身。2010年4月、「安心できる地域ケアを考える会」を中心となって立ち上げ、現在まで代表を務める。同会は毎年、創作劇「輝いて生きる」を上演し、人生の終末期を考えておくことの大切さを発信する。

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