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震災の経験を商店主から聞く長谷川紗椰香さん(右から2人目)=17日午後2時13分、神戸市長田区、大正筋商店街
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震災の経験を商店主から聞く長谷川紗椰香さん(右から2人目)=17日午後2時13分、神戸市長田区、大正筋商店街

 記憶の継承の在り方が問われる中、震災を知らない若い世代は17日の追悼行事や催しに参加し、伝える責任と向き合った。25年前のあの日を経験していない自分たちが、どう風化を食い止め、教訓を次代へとつなぐか。阪神・淡路大震災の被災地で経験者の声に耳を傾ける。(杉山雅崇、竹本拓也、地道優樹)

 学生44人、職員ら3人(旧神戸商船大含む)が犠牲になった神戸大学の神戸市内2キャンパスで、慰霊献花式があった。この式に特別な思いで臨んだのは、2018年末に発足した学生団体「神戸大学メディア研」。震災で大学の先輩が亡くなったことを知らない学生が多いため、神大生の遺族を取材しては、ウェブサイトで発信。献花式への参加を呼び掛ける紙の「号外」も配布した。

 迎えた17日。一人、また一人と学生や留学生が足を止め、手を合わせた。灘区のキャンパスだけでも遺族を含む200人以上が参加。昨年、遺族と教職員が大半だった式典に学生たちがあふれた。代表の大学院修士1年森岡聖陽さん(22)は「四半世紀の節目に、震災を知らない同世代と共に、先輩たちの無念と向き合う場をつくれた。きょうをスタートに、今後も学びと発信を続けたい」と話した。

 神戸市長田区で開かれた震災を語り合うイベント「TALK ABOUT-」の会場では実行委員会のメンバー、神戸松蔭女子学院大3年長谷川紗椰香さん(21)が商店主たちと談笑していた。

 両親は共に自宅が全壊し、避難所生活も経験した。自身も、壊滅的な被害を受けた新長田の商店街を遊び場として慣れ親しんだ。発生は生まれる約4年前とは言え、あのとき何があったのかを聞きながら育ち、その後の道のりは、意識せずとも見ていたつもりだ。

 記憶の継承と教訓を伝える学生グループで動画を製作する長谷川さんは、半年前から被災した人たちの話を聞く活動に加わっている。あるときのことだ。「つらい経験を話したくない」と取材を断られた。心が揺れた。相手の気持ちが分からず、傷をえぐっているのでは-。しかし、相手が続けた言葉は「でも、震災のことを忘れられたくないからね。ありがとう」。

 長谷川さんは、この言葉で覚悟ができた。「神戸に生まれたからには、記憶を伝え続けなきゃいけない」。

 「地震が来ても絶対に倒れない建物を造りたい」。神戸市中央区の東遊園地で、武庫川女子大2年の女子学生(20)は建築家への夢を語った。

 志すきっかけとなったのは、小学4年の頃に通っていた神戸市東灘区の絵画教室。講師の女性から、教室に通っていた小学生と幼稚園児の姉妹を含む家族5人が震災で亡くなったと聞いた。倒壊した家屋の下で、両親は子どもたちにおいかぶさるように亡くなっていたという。

 ある日、絵画教室でその情景を想像し絵を描いた。筆を重ね、親子の絆の強さに思いを寄せるようになった。と同時に、その絆を一瞬で奪い去る地震の恐ろしさを実感した。

 17日に東遊園地のつどいに初めて参加し、絵画教室の展示コーナーで自分の絵を10年ぶりに見た。年月を経て癒えない遺族の表情にも出会った。「絵の中の地獄を繰り返さないように」。夢への思いを新たにした。

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