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 阪神・淡路大震災の被災者に国と自治体が貸し付けた「災害援護資金」で、低所得者らに返済免除の対象を広げる昨年の法改正に伴い、兵庫県内で少なくとも約30億円分が新たに免除される見込みであることが14日、神戸新聞社のまとめで分かった。直近の未返済分(約51億6千万円)の約6割に当たる。震災から25年を経て高齢化などで返済に苦しむ被災者らに救済の道が開けたが、免除対象にならない世帯もあり、残された課題の解消には至っていない。(井関 徹、前川茂之)

 災害援護資金は、県内13市で計5万6422件約1309億円が貸し付けられた。震災3年後の1998年に被災者生活再建支援法が施行され、最大100万円(2004年からは最大300万円)の支給が始まるまでは、被災者がまとまった現金を手にできる唯一の公的支援だった。

 生活再建のため「借金」に頼らざるを得ない状況の中、長引く不況や被災者の高齢化で返済は次第に滞った。返済を終えた姫路、三木市を除き、計約3500件超(約51億6千万円)が未返済となっている。

 当初、免除対象は借り主の死亡などに限られていたが、国は2015年、自治体が無資力と判断した被災者の返済を免除する方針を提示。一部で保証人の子世代に債務が引き継がれているケースもあり昨年、災害弔慰金法を改正し、保証人や低所得者らにも対象を広げた。

 法改正を受け、借り主らの現状調査を進めている県内11市に今月、返済免除の見通しを聞いた。既に免除を決めた金額だけの回答や未定とした自治体もあったが、合計の見込み額は約30億円に上った。免除額はさらに増える可能性がある。

 3万1672件約777億円を貸し付けた神戸市は、15年時点の借り主の所得状況を基に約21億円の免除を見込む。尼崎市は14件約1500万円の免除を決め、順次資力調査を進めている。淡路市の担当者は「借り主の中には保証人に迷惑をかけないよう、免除を申請してこなかった人もいる」と明かした。

 今回の法改正では、行方不明者らが免除対象になっておらず、自治体から今後の回収業務に不安も漏れる。借り主が期限までに返済できなければ各市が立て替えなければならない。法改正による過渡期のため、国は今年に設定していた償還期限を延長するとみられるが、県などは返済があった分のみを償還対象とするよう求めている。

【災害援護資金】 災害弔慰金法に基づき、全半壊世帯などに最大350万円を貸す制度。原資は国が3分の2、残りは都道府県または政令市が負担し、市町村が貸し付け事務と回収を担う。阪神・淡路大震災での返済期限は10年だが、未返済が多額に上り、国は2006年から4度にわたり償還期限の延長を続けている。昨年の法改正では保証人に加え、住民税などを除いた年間所得が150万円未満、預貯金20万円以下などの要件を満たす借り主も返済免除の対象となった。

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