三田

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 「全体的に現実味がなくて漫画っぽいなあ。腰を据えてやろか」。8月半ば、私の原稿を見た三田版デスクは言った。連載「戦争って何?」の1部で取り上げた今北初男さん(95)の記事だ。

 当初の文章を紹介する。おなかが減ってどうしようもない心情を「道端に転がってる石ころがジャガイモに見えてん」、真っ暗な炭鉱を歩く様子を「地獄に行っきょるような感じやの」と書いた。

 今北さんが何度も言葉を変えて説明してくれたものだ。でも、ピンとこない。普段の取材だったら気持ちや情景を想像できるのに…。今北さんは言った。「戦争を肌で感じてないから難しいわ」。私は平和な今しか知らない。漫画っぽい表現から前に進めないのは当時の社会を知らないからだと気付いた。

 分からないながら、一番疑問を持ったのが、国が戦争に向かう中での国民感情だ。今の時代だと「必勝の国」という考え方は信じられないが当時は違った。「どーしょーこーしょー言うてもしゃあないねん。兵隊に行くのが当たり前なんやもん」。そう振り返る今北さんの嘆きに、正しい情報が何かも分からず、拒否する権利もなく進んでいく戦争の怖さを思った。

 仕事で新聞は見るものの、やっぱり政治は遠いと感じるのは何でだろう。「『ふんそうかー』と言うてたら戦争やった」。今北さんの言葉が心に引っかかる。(山脇未菜美)

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