神戸

  • 印刷
高利光さん、悦子さん夫妻=冨月
拡大
高利光さん、悦子さん夫妻=冨月
震災後からプレハブ2階建ての店舗で営業を続ける=冨月
拡大
震災後からプレハブ2階建ての店舗で営業を続ける=冨月
震災で全壊した店舗=冨月(高さん提供)
拡大
震災で全壊した店舗=冨月(高さん提供)
震災から10日後に路上店舗を出した時の様子=冨月(高さん提供)
拡大
震災から10日後に路上店舗を出した時の様子=冨月(高さん提供)
(上から順に)シビレン、ブタの胃袋、マグロのすきみ=冨月
拡大
(上から順に)シビレン、ブタの胃袋、マグロのすきみ=冨月

 神戸市兵庫区新開地本通り沿いに建つ2階建てのプレハブが気になった。すぐ近くに「ボートピア神戸新開地」(兵庫区新開地4)がそびえるせいか、ひときわ小さく見える。店先には居酒屋「冨月」の暖簾。午後6時すぎ。店から漏れ出る灯りに吸い込まれるように仕事帰りのサラリーマンらが入っていく。私もその後に続いた。

 「いらっしゃい」。出迎えてくれたのは、店主の高利光さん(54)と妻悦子さん(53)夫妻。1階は約20のカウンター席、2階は予約限定の焼き肉スペース(約30人)になっている。

 先代の両親が焼き肉店「風月堂」を創業したのは1965年。85年に高さんが2代目となった。辛味のある秘伝のタレで食べるシビレン(牛の胸腺)や、塩コショウで味付けされたブタの胃袋、マグロのすきみは、常連客に愛される看板メニューだ。

 95年の阪神・淡路大震災では、木造2階建ての店舗が全壊。「みんなが悲しんでいるからこそ、頑張らなあかん」と10日後には、キャンプ用の道具を使って路上に仮店舗を出し、肉やおでんなど約10種類のメニューを1人前500円で提供した。同年9月にプレハブ店舗を再建し、以来、この建物で営業を続ける。ボートピアができたのに合わせ、99年に「冨月」として再スタートを切った。

 店が軌道に乗り始めた矢先、さらなる悲劇が高夫妻を襲った。6年前、悦子さんにがんが見つかり、抗がん剤治療を続ける生活が始まった。悦子さんの変わりに調理場に立ち、高さんを支えたのは、新開地でともに育った仲間だった。

 「困った時はお互いさま。人情味が今も残っているのがこの街の魅力」と高さんは笑顔を見せる。

     ◇

 カウンター席にかごがあり、注文と同時に支払いを済ます「前金制度」もこの店の特徴だ。闘病生活から復帰し、調理場に立つ悦子さんに理由を尋ねてみた。

 「ボートピアのお客さん多いでしょ。舟券を買うのは1分1秒を争うの。もたもたしてお客さんに迷惑を掛けたくなかったのよ」(千葉翔大)

神戸の最新
もっと見る

天気(7月11日)

  • 28℃
  • ---℃
  • 40%

  • 32℃
  • ---℃
  • 50%

  • 29℃
  • ---℃
  • 60%

  • 28℃
  • ---℃
  • 60%

お知らせ