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藤藪みさ子さんに抱かれたピーちゃん。安心した様子でカメラを見つめる=神戸市垂水区(撮影・吉田敦史)
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藤藪みさ子さんに抱かれたピーちゃん。安心した様子でカメラを見つめる=神戸市垂水区(撮影・吉田敦史)
拾われて間もないころのピーちゃん=1995年、神戸市灘区(藤藪みさ子さん提供)
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拾われて間もないころのピーちゃん=1995年、神戸市灘区(藤藪みさ子さん提供)

 阪神・淡路大震災から1カ月後に神戸の街で拾われた猫が、今も元気に生き続けている。名前はピーちゃん(雌)。平均寿命を大幅に上回る推定24歳になった。神戸市灘区にある公園脇の側溝からへその緒が付いた状態で発見された小さな命は、被災からの苦楽を家族とともに過ごしてきた。震災から25年を前に、飼い主の藤藪みさ子さん(67)=同市垂水区=は「あんな小さかった子がこんなに長生きして。一年、一年と生き続けてほしい」と目を細める。(篠原拓真)

 震災で当時住んでいた神戸市灘区の8階建てマンションは半壊。余震への恐れなどもあり、近くの石屋川公園にテントを張って避難生活を送った。

 ピーちゃんとの出会いは、震災から1カ月が過ぎたころだった。長男慎次さん(43)と長女かおりさん(41)が近くの別の公園を通ると、どこからか甲高く鳴く声が。公園脇の側溝をのぞくと、目を閉じたままの子猫が手のひらに収まるほどの小さい体を震わせて鳴いていた。

 人通りも少なく、近くに母猫の姿もない。生活の場を戻しつつあったマンションはペットを飼えないことになっていたが、2人は「見捨てられない」と連れ帰ってきた。

 震災後で物がなかった。ペットショップを探し回り手に入れた粉ミルクを溶き、哺乳瓶が見つかるまではストローで与えた。子どもたちの学校が再開してからは、藤藪さんが仕事の昼休みに自宅に帰ってミルクをやり、再び仕事に戻る日々。「自転車で慌てて行き来した」と笑って振り返る。

 「震災を機にいろいろと変わった」。この季節になると当時の記憶がよみがえる。軒並み倒れた木造住宅や煙の上がる建物、地震で亡くなった人たち-。公園でのテント生活は寒さが襲った。「とにかく怖くて寒かった」

 震災から3年後に垂水区へ転居し、仕事もいくつか替わった。家族が精神的にバラバラになりかけたときもあったという。そんなときも「ピーちゃんが家族を和ませ、私を癒やしてくれた」と振り返る。

 猫の平均寿命は15歳ぐらい。24歳といえば、人間なら116歳。震災25年という声が聞こえ始め、改めてピーちゃんの長寿と救われた月日に感謝する。子どもたちの独立などで、2年前からはピーちゃんと2人暮らし。仕事から帰ると鳴いて出迎え、横になるとそばに来て同じように寝転がるという。藤藪さんはおいしそうにおやつを食べるピーちゃんを見つめて語り掛ける。「これからも元気でよろしくね」

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