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世界初の液化水素運搬船 川重神戸工場で進水式

2019.12.11
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進水する世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」=11日午前、神戸市中央区東川崎町3(撮影・秋山亮太)

進水する世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」=11日午前、神戸市中央区東川崎町3(撮影・秋山亮太)

進水式を終え、神戸の海上に浮かぶ液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」=神戸市中央区東川崎町3(撮影・秋山亮太)

進水式を終え、神戸の海上に浮かぶ液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」=神戸市中央区東川崎町3(撮影・秋山亮太)

進水する世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」=11日午前、神戸市中央区東川崎町3(撮影・秋山亮太)

進水する世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」=11日午前、神戸市中央区東川崎町3(撮影・秋山亮太)

 川崎重工業(神戸市中央区)は11日、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の命名・進水式を神戸工場(同)で開いた。祖業の造船に、高い断熱性能を有す貯蔵タンクなど他部門で培った技術力を結集させた新型の試験船となる。造船業界は世界的な競争激化が続き、川重は事業の構造改革を進める。同工場は付加価値の高い特殊船の建造に特化するほか、商船も含めた船舶の基本設計を手掛け、部門の司令塔の役割を担う。(横田良平)

 運搬船は全長116メートル、総トン数8千トンで、1250立方メートルの液化水素を詰め込める。ファンファーレが鳴り響く中、青のラインなどが入った真新しい船が海上に浮かぶと、集まった市民ら約4千人から歓声が上がった。

 液化水素は、水素ガスを零下253度まで冷やして液体状にしたもの。体積を気体の800分の1に抑えられ、大量輸送を可能にする。運搬船は2020年秋の完成予定。川重は20年度に岩谷産業などと共同で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、豪州で採掘される褐炭から水素を生成し、豪州から神戸まで運ぶ実証試験を予定する。30年の商用化を目指している。

 川重は1981年にアジア初の液化天然ガス(LNG)運搬船を建造したが、「液化水素はLNGの10倍蒸発しやすい」と、西村元彦水素チェーン開発センター長。液体状態を維持するため、貯蔵タンクに真空断熱の2層構造を採用。船の揺れなどに備え、タンクを支える部材にはヘリコプターで使用実績があり、熱を通しにくいガラス繊維強化プラスチックを使うなど、幅広い知見を活用した。

 国内商船は、価格競争力で上回る中国・韓国勢の攻勢を受けて不振が続く。川重は安価なばら積み船などの商船建造を中国拠点に移し、坂出工場(香川県)との一体運営を図る。18年度の国内操業規模は15年度比で2割減ったが、その分高い技術を要する船の建造に注力。坂出はガス運搬船のほか、水素事業も絡めた全社的活用を図る。

 一方、神戸工場は安定収益が見込める潜水艦など特殊船の拠点として期待がかかる。潜水艦は隔年で建造が続くほか、海上保安庁向け巡視船などの建造も視野に入れる。離島航路を航行する超高速旅客船「ジェットフォイル」を25年ぶりに造り、20年に引き渡し予定。海底探査などに用いる自律型無人潜水機(AUV)も手掛け、21年度の市場投入を目指す。

 国内では建造量首位の今治造船と2位のジャパンマリンユナイテッドが資本提携で合意するなど再編の動きがあるが、金花芳則社長は「当社はわが道を行く。神戸は今後も特殊船の新造船が続く」としている。