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 極度の倦怠(けんたい)感や痛みが続く疾患「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」を診断する際に、バイオマーカー(指標)となり得るタンパク質などを、理化学研究所(神戸市中央区)と三重大学などの研究グループが発見した。現在は明確な指標がなく、「なまけ病」などと言われ理解されないことも多い患者にとって今後、容易な診断や適切な治療につながることが期待される。(霍見真一郎)

 理研によると、同疾患の患者は世界で1700万人以上、国内に30万~40万人いるとみられるが、確立された治療法はない。保険診療で認められている検査では異常が見つからず、精神科を受診しても病名が付かない場合が多い。

 臨床では、強い倦怠感や睡眠障害が続くことなどが診断基準となっている=【図1】。これまで「自律神経異常」を診断の指標にしようとする取り組みもあったが、不眠症や更年期障害でも同様の異常が確認されるため、より明確な指標が求められていた。

 2013年に始まった研究では、患者99人と健常者53人などから、血液の一部である「血漿(けっしょう)」を採取し成分などを比較。三重大の江口暁子特任講師によると、慢性疲労症候群の患者の血漿には、「細胞外小胞」という赤血球の100分の1~千分の1ほどの大きさの粒子が2倍以上あることが分かった=【図2】。

 さらに細胞外小胞内のタンパク質も調べたところ、患者は2種類のタンパク質が健常者に比べて顕著に多かったという。小胞内のこれらのタンパク質量を量ると、同疾患と特定できる可能性があると分かった。研究成果は米科学誌のインターネット版に掲載された。

 理研などの研究ではこれまでに、約4割の患者が脳の特定部位に顕著な炎症を起こしていることも分かっており、研究グループは今後、これらとの関係も調べる。理研の渡辺恭良(やすよし)チームリーダーは「うまくいけば、診断指標は数年以内に確立できるかもしれない。脳内炎症に対する薬の臨床試験とともに、大きな一歩になる」としている。

【筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)】 米ネバダ州で1984年、約200人の大人や子どもが突然仕事や学校に行けなくなり、国の調査で明確な原因が見つからなかったため「症候群」の名が付いた。日本では89年に国内1例目が発見され、研究が進められてきた。治療法が定まっていない上、社会の理解が広がらず「なまけ病」と言われて傷つく患者も多い。

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