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「言葉のつながりを必要とする人にこの本が届いてほしい」と話す後藤桂子さん(左)と奈々子さん=福崎町山崎
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「言葉のつながりを必要とする人にこの本が届いてほしい」と話す後藤桂子さん(左)と奈々子さん=福崎町山崎

 兵庫県姫路市内の大学で講師を務める後藤桂子さん(61)と長女奈々子さん(36)=ともに同県福崎町=が、学生らと取り組んできた一行詩作りの活動を本にまとめ、「わたしが素直になれるとき」と題して出版した。短い言葉のやりとりを通じて心を通わせてきた25年間の記録で、コミュニケーションツールとしての詩歌の力を示している。

 桂子さんが一行詩を始めたのは1994年。同市内にある中高一貫のミッションスクールで、国語教諭として卒業文集を編んだ時だった。「普通の作文だと内容が似通ってしまうでしょう。ちょっとした思いつきと省エネでした」。同校の他学年や後に勤めた通信制高校、教員免許更新講習などの場で指導してきた。

 詩は1~3行程度で、両親や友達、先生など身近な人に宛てたメッセージの形を取る。やがて受け取った親が、一行詩で返信するケースも。そんな中で、死別した父親や家族を捨てて出て行った母親、不登校だった自分自身への思いなど、誰にも言えなかった複雑な感情も言葉にしてつづられるようになったという。

 〈「お母さん」って呼びたいけど呼べない/だって私をゴミのように捨てたんだもん〉(娘から母へ)

 〈あの子はよくて、わたしはアカン/なんでやねん!?〉(高校生から先生へ)

 〈天国でもお酒飲んでますか?〉(娘から父へ)

 本の中では、桂子さん自身の教育現場での悩みや、乳がんの闘病体験なども隠さずに吐露。現在は姫路獨協大学と姫路大学の講師として一行詩を使った講義を行う。昨夏、脳梗塞を患った際には、兵庫県立大学でキャリアコーディネーターを務める奈々子さんが母の講義を代行した。

 奈々子さんは「以前はきれいごとに思えた世界だった。でも自ら語ってみて、その不思議な魅力を実感した」。桂子さんは「本来の自分と向き合い、普段は絶対に言えない本音を引き出す力がある。学校や家庭、医療現場などでも、相手の思いを受け止めるツールになるのではないか」と話す。澪標刊、1980円。

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