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インドネシア・シムル島に伝わる「避難の歌」を体感した感想を語るブルームワークスの桝田和宏さん(左)と石田裕之さん=神戸市中央区下山手通2(撮影・斎藤雅志)
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インドネシア・シムル島に伝わる「避難の歌」を体感した感想を語るブルームワークスの桝田和宏さん(左)と石田裕之さん=神戸市中央区下山手通2(撮影・斎藤雅志)

 約22万人の死者を出した2004年のインドネシア・スマトラ沖地震で、震源地近くにもかかわらず、犠牲者がわずか7人だった島がある。島で歌い継がれる叙事詩が多くの命を救った。防災・減災の普及に取り組む神戸の音楽ユニット「ブルームワークス」(BW)は11月下旬、その歌に触れようと現地を訪問。堤防も高台への避難路もない島で、津波の教訓を記した歌は文化として浸透し「避難の歌」になっていた。BWは「防災は生活に根差してこそ意味があると実感できた」とし、自らの活動への思いを新たにした。(金 旻革)

 15年前の04年12月26日、マグニチュード9・1の巨大地震がスマトラ島沖で発生。大津波がインドネシアをはじめ周辺諸国を襲い、史上最悪の津波災害をもたらした。同国北西部のアチェ州は最大の被災地で16万人以上が死亡。しかし、震源地から約60キロ南の同州シムル島の犠牲者は7人のみで、関心を集めた。

 シムル島は総面積約1800平方キロメートル。神戸市の約3・2倍の大きさにあたり、人口は約7万8千人で漁業と農業が主要産業だ。15年前に津波が起きた時、一斉に高台の山へ駆け上った島民の脳裏には、島の言葉で津波を意味する歌「スモン」が浮かんでいたという。

 防災士の資格を持つBWのボーカル石田裕之さん(39)と、兵庫県立大大学院減災復興政策研究科卒業生でボイスパーカッション桝田和宏さん(47)は11月25~28日、島民とスモンの関係を調べようとシムル島を訪ね、島に古くから伝わる叙事詩「ナンドン」の存在を知った。伝統打楽器などの音に合わせ4行詩を発声する。「スモン」は、1907年に島を襲った津波を教訓に約100年前に付け加えられた一節だった。

 大地が揺れた時 海の水が引いた時 すぐに逃げなさい 逃げるところは高台 見なさい 海があなたたちのすみかを壊

すところを

 「まるで日本の能楽のようだった」。桝田さんは振り返る。ナンドンは継承者によって代々歌い継がれ、結婚式など人生の節目で披露されていた。島民は異口同音に「ナンドンは文化。島の人は誰でも知っている」と話したという。

 石田さんは「堤防のようなハード整備がなくても、防災を文化にできれば命は守れることを学んだ」。さらに着目したのは、スマトラ沖地震後にスモンをポップ音楽風にアレンジした曲が生まれていたこと。親しみやすいメロディーで、2人は今後、日本でも歌い広めたいと考えている。「アーティストだからこそできる方法で防災を伝えていきたい」と意気込む。

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