明石

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道場で子どもを指導する谷本弘行さん=姫路市内
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道場で子どもを指導する谷本弘行さん=姫路市内
明石署では刑事2課長を務める=明石署
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明石署では刑事2課長を務める=明石署

 兵庫県警明石警察署。市民の安全を守るため、警察官約400人が24時間体制で働く。ここにプロ格闘技「K-1」にも出場した“最強のお巡りさん”がいると聞いて、会いに行った。(長沢伸一)

 谷本弘行さん(49)。明石署では、暴力団対策や特殊詐欺事件などを担当する刑事2課長だ。

 テレビで見た警察官に憧れ、高校卒業後、この道に進んだ。格闘技が好きで、高校生の時に始めた柔道を生かしたかったという。

 22歳で警察官の逮捕術の全国大会に出場。さらに技術を高めるため、打撃系の格闘技を学びたいと、大阪のシュートボクシングジムに入門した。

 逮捕術は向かってきた相手にけがを負わせずに取り押さえる技だ。

 「一対一で相手と向かいあった時、少し強いぐらいでは相手にけがを負わせてしまう。あちらも必死なので、相当な技術が必要になる」

 技術を極めたい。強い警官でありたい。練習を重ねるたび、思いは増した。

 千葉県警に出向後、同県習志野市のジムに入門し、キックボクシングのプロテストに合格。公務員は副業が禁止のため、報酬なしでリングに上がった。

 キックボクシングなどで17試合し、15勝の戦績をあげた。周囲の助けもあり、1999年には人気の格闘技イベント「K-1」のリングに上がり、国際競技空手協会(ISKA)の世界王者と対戦。晴れの舞台で初めてのダウンを喫し、KO負けした。

 その年、練習中に右膝靱帯断裂、右膝関節骨折、半月板損傷の大けがを負う。

 2004年、長年のライバルだった西日本空手道選手権王者の林誠選手と引退試合をした。

     ■

 格闘技の技術や経験は警察官としての勤務にも役だった。

 「体や精神が鍛えられただけでなく、多くの人とのつながりができた」

 交番勤務の時、殴りかかってきた相手のパンチを全てよけ、相手にけがをさせずに取り押さえたこともある。1週間で10キロの減量を経験したことで、「空腹にも強くなり、長時間の張り込みもつらくない」と笑う。

 大けが後は、培ってきた技術や思いを伝えたいと、指導者の道へ。

 現在は兵庫県姫路市飾磨区の「日壮会館」で3~50歳ぐらいの30人を指導している。特に子どもには言葉遣いや態度から教える。

 「正義なき力はただの暴力。力がない正義は無力。あくまで自分や身内を守るための技術。心構えから教えたい」。明石署でも逮捕術を指導している。

     ■

 過去の教え子の中にはリングで戦う谷本さんの姿を見て警察の仕事を知り、実際に警察官になった人もいる。現在の道場にも警察官を夢見る小学生がいる。

 「それを心の支えにしてきた。テレビのヒーローが好きな子は多い。警察官が悪者にやっつけられる姿は見せられない。子どもたちの憧れになるためにも、強くなければならない」と話す。(長沢伸一)

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