「新聞感想文コンクール」  

新聞のある朝

松田莉那(まつだ・りな) 西脇市立西脇中学校 3年

 ボンヤリとした頭で食卓に座っていると、「何か変わったニュースある?」と台所のカウンター越しに母の声がする。朝起きると食卓にはいつも新聞が置いてある。朝はテレビをつけないのが我が家のルール。今日の天気も新聞で確かめる。信じているのにたまに雨に降られたりもする。あーあ、と思いながら、次の日もやっぱり新聞で天気を確認する。
 さっきの母の注文に答えて、私は一面の記事を読む。そして気になったニュースを伝える。なぜ私が一面からみるのかには、理由がある。それは一番のお気に入りが正平調だからだ。小さなスペースに短い文章だけれど、毎日載っている正平調。日々のニュースが思いがけない視点からつづられている。その切り口、知識の広さに毎日ただただ感心する。「正平調書いている人ってどんな人だろうね。」と、その著者を想像して家族と盛り上がることもある。今のところ、大ベテランの男性、ということになっている。
 ところで最近、私の報告で「え、本当に。」と母が喜んだニュースがある。三日間行方不明だった男の子が見つかった記事だ。どこで、誰が見つけたの、など台所仕事をしながら次々に質問してくる。私は詳しく書いてある二十四面を開いて質問に答える。男の子の母親のコメントに「私もお母さんだからよく分かるよ。」と涙ぐんだりする。私が涙もろいのは母ゆずりらしい。そして母は用事が済み食卓につくと、裏側から新聞をめくっていく。するとすかさず妹が「四コマ見せて。」と母にくっつく。妹をそのままに、母は記事を読みながら、ひとり言なのか私達に聞かせているのかよく分からないが、しゃべっている。母のお目当ては地域面だ。近隣の町で起こった出来事を知るのが楽しいらしい。時には知っている人が載っていて「見て見て。」とはしゃいでいる。
 そしてそれがひと段落する頃に、祖母が起きてくる。私達が学校や仕事に行く準備にバタバタしている中、祖母はゆっくり新聞をひろげ、母と同じく裏側からめくっていく。こちらはお経みたいにブツブツ記事を読みながら。それを見て、似た者親子だなぁと思う。そして私もいつか地域面を楽しむようになるのかなぁと想像する。祖母ももちろん地域面が好きだ。そして趣味の短歌や俳句の面をとても楽しみにしている。それと占いも。
 私達が「行ってきます。」と家を飛び出す時、二つの行ってらっしゃいが背中を押す。母のせわしないのと、祖母ののんびりしたのとだ。母はこの後すぐに出勤だ。祖母はまたゆっくりと新聞を読むのだろう。
 我が家の朝に新聞はかかせない。新聞を読む事で社会を知る事ができる。新聞を通じて私達家族は言葉をかわし、つながっている。私はこれからの朝も正平調を読み、母のためにニュースを読む。そんな朝が続いて行く事がとても楽しみだ。


(8月16日付 神戸新聞から)
「新聞のある朝」「新聞のある朝」

 

※題名をクリックすると講評と神戸新聞社賞・県知事賞の作品を読むことができます。

兵庫県NIE推進協議会 秋田久子 会長 講評

地域の課題「我がこと」として
 
部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校1・2年 宜川 真子
福崎町立田原小学校・2年
「ひめじわかな」
小学校3・4年 坂元  蓮
神河町立寺前小学校・4年
「寺前楽座 まちの灯り」
小学校5・6年 中川 陸聡
宝塚市立末広小学校・5年
「一つの地球上で
~ちがうものと同じもの~」
中学生 松田 莉那
西脇市立西脇中学校・3年
「新聞のある朝」
高校生 片井 文音
兵庫県立洲本高等学校・1年
「広がる院内助産、助産師外来」
兵庫県知事賞 小学校1・2年 片山 志恩
小野市立河合小学校・1年
「ゆめ見るはな火」
小学校3・4年 藤田  慎
神戸市立長坂小学校・4年
「出荷激減 風前のマッチ業界」
小学校5・6年 小田垣 萌果
豊岡市立日高小学校・6年
「豊かな心・強い心」
中学生 澤田 莉琉
宍粟市立一宮北中学校・3年
「生きる」
高校生 植田さくら
賢明女子学院高等学校・2年
「高校生が社会を動かす」
 

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