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 安倍晋三首相が北海道、東京、神奈川など5都道県で緊急事態宣言を解除した。兵庫など近畿3府県は先週解除しており、これで国内すべての地域で宣言が解かれた。

 新型コロナウイルス特措法に基づく初の宣言が出されたのは4月7日のことだ。外出自粛や行動制限を求められたこの7週間は、多くの国民にとって、不安と背中合わせの息苦しい日々だったことだろう。

 首相は記者会見で「新しいやり方で社会、経済活動を取り戻す」と述べた。厳しく制限するこれまでの対応では国民の仕事や暮らしが立ち行かなくなったとの認識も示した。

 休業要請や営業自粛などで多くの事業者が打撃を受けた。休校で子どもらの学習に影響が出ており、家庭の疲れもたまっている。胸をなで下ろした人は少なくないだろう。

 幸い「3密」を避ける国民の努力によって、感染はかなり抑えられている。この時期に傷んだ経済を立て直し、社会生活に生じた問題を解決する取り組みを急ぎたい。

 政府は、明日にも決定する第2次補正予算案で、困窮する人たちに、より手厚い支援を実施すべきだ。

 きょうからは再流行への不安を抱えながらの「新たな日常」の始まりである。秋にも予想される第2波に備え、ウイルスとの長期戦への準備を万全にしておく必要がある。

 政府はきのう、経済、社会活動を拡大するための、新たな基本的対処方針を策定した。感染症対策を前提にしながらも、大規模イベント開催などを段階的に可能にする内容だ。これを踏まえて東京都など自治体も休業要請の大部分を終える。

 ただ、宣言解除について、政府は「直近1週間の新規感染者の累計が人口10万人当たり0・5人程度以下」を目安の一つとしていた。東京では最近も2桁の新規感染者が確認されており、神奈川や北海道はまだ目安自体を達成していない。

 それでも政府が解除に踏み切ったのは、崩壊寸前に陥った医療の立て直しが進んだ事情があるようだ。「感染者が増加に転じないうちに」と判断を急いだともされる。

 現実に海外では制限緩和後にクラスター(感染者集団)が発生している。首相は「日本の感染症対策の力を示した」と胸を張ったが、感染者数や死亡者数などは近隣の韓国、台湾を上回っており、医療・検査の拡充などに依然、課題を残しているのが実情だ。国民への詳しい説明が求められる。

 第2波が来れば、再び緊急事態宣言を発する事態も起こり得る。対応に手間取った今回の教訓を踏まえ、波を乗り切る体制を今からしっかり構築しておかねばならない。

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