社説

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 新型コロナウイルスは、もうひとつのパンデミック(世界的大流行)を引き起こしかねない。ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待である。

 危険信号は既にともっている。国連によると、健康や家計への不安、外出制限や自粛によるストレスから、世界中で家庭内暴力が急増している。欧米ではDV被害者の保護施設がパンク状態という。

 対岸の火事ではない。日本も対策を急がねばならない。

 非常時において、暴力被害はさらに深刻化、潜在化する。そのことは、震災などの自然災害時にも指摘されてきた。今後、景気の大幅な落ち込みが予想され、暴力のリスクは高まっている。命に関わる問題だ。

 コロナ禍で、官民の見守りや支援体制は十分に機能を発揮できなくなった。まずはそれらを立て直し、強化すべきである。

 「在宅時間が増えた夫に見張られているため電話できず、連絡が途絶えた人がいる」と、DV被害者を支援するNPO法人・全国女性シェルターネットは訴える。感染防止で対面相談が一部中止となり、電話では支援につながりにくいと危機感を募らせる。

 休校の影響も大きい。明石こどもセンター(児童相談所)では、通常なら学校経由の相談が全体の2割近くを占めるが、休校以降は激減した。虐待リスクの高い家庭の面会が、感染の危険性を理由に断られるケースもあった。

 感染防止策を尽くして面談に取り組むなど、SOSを察知する「感度」を高める必要がある。

 会員制交流サイト(SNS)をはじめ、ネットの活用も有効だ。

 内閣府はメールやチャットでも相談できる「DV相談+(プラス)」を開設した。子ども向けには、兵庫県教育委員会がLINE(ライン)でやりとりする「ひょうごっ子SNS悩み相談」を行っている。当事者により広く知ってもらえるよう工夫が求められる。

 兵庫県の緊急事態宣言が解除され、6月には学校が本格的に再開される。先生たちは子どもの心身の様子を注意深く見てほしい。スクールカウンセラーの派遣など、多忙な現場への支援が欠かせない。

 さらなる経済支援も急務である。現金給付の場合は世帯主への一括送金ではなく、個人で受け取れる仕組みも検討するべきだ。家庭内暴力の被害者には届かない恐れがあり、個人の権利が保障されているとはいいがたい。

 DVと児童虐待は一体的に対応することが肝心だ。関係機関は連携をいっそう密にしてもらいたい。

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