社説

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 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を大阪、京都、兵庫の近畿3府県で解除すると、安倍晋三首相が決定した。

 これを受けて3府県は23日午前0時から、特措法に基づく休業要請の大部分を終了する。1カ月以上にわたった“闘い”は、ひとまず大きな山を越えた。

 兵庫や京都では新規感染ゼロの日が続き、大阪でも1日の新規感染者が1桁に抑えられている。外出自粛や休業要請、イベントの中止など、「3密」を回避する官民の取り組みが成果を上げたといえる。

 ただ、解除は「出口」でなく、次の段階への「入り口」と捉えるべきである。第2、第3の波に備えるため、手にした時間の余裕を有効に使わねばならない。

 感染者が減った今もウイルスが消えたわけではない。政府の諮問委員会の尾身茂会長は「見えない感染が続いている」と注意を促す。

 3府県では一時、感染者が急増し、100人を超える命が失われた。北海道と東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏4都県では宣言が継続され、気を許せない。油断すればウイルスは勢いを取り戻すだろう。

 今回のコロナ禍で明らかになったのは、感染症に対応する医療体制が思いのほか脆弱(ぜいじゃく)だったことだ。

 兵庫県もベッドの確保に追われ、院内感染で基幹病院が危機に陥った。集中治療室が埋まり、人工呼吸器の余力が失われる恐れもあった。医療崩壊には至らなかったが、綱渡りに近い局面があったのは事実だ。

 今回を上回る感染拡大に耐えられるよう、PCR検査の拡充を含む医療体制の強化が避けられない。

 疲弊した経済の回復も急がれる。中小の事業者は特に深刻な打撃を受けた。世界的な流行が続けば、リーマン・ショック時以上の大量失業に至る恐れも指摘されている。

 国の対策は遅れ、都道府県が独自の協力金などで支援した。国は第2次補正予算を検討するが、スピード感では自治体が勝る。国は財政面などで地方を後押しすべきである。

 宣言解除後も兵庫県は大阪、京都府と連携し、クラスター(感染者集団)が発生したライブハウスや夜の接客を伴う店などには休業継続を求める。一方で飲食店への時短要請などは解除する。県立学校も6月1日から分散登校などの形で再開し、段階的に本格再開を目指す。

 長い休校で子どもたちの学習や生活にもひずみが出ていることだろう。学校は心身のケアに心を配ってほしい。新型コロナとの“闘い”は長い道のりになる。警戒しつつ、力を蓄えよう。

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