社説

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 球児には春だけでなく、夏も来なかった。日本高野連は新型コロナウイルス感染拡大のため、8月10日に開幕する予定だった全国高校野球選手権大会の中止を決めた。

 春に選抜高校野球大会の開催が断念されたとき、「まだ夏がある」と励ます声があった。甲子園出場に向けて努力を重ねてきた球児たちは今回、その望みも絶たれた。かける言葉も見つからない。

 全国から出場校が集まる選手権大会は、移動と宿泊、そして地元に戻ることによる感染リスクを伴う。高野連は選手やチーム関係者らの安全が保てないと判断した。

 開催を望む声もある中、高野連には難しい議論と決断が迫られたが、何よりも命を優先した結果であると受け止めたい。

 同時に、予選としての地方大会も中止となる。緊急事態宣言で休校や部活動停止が長引いており、万全の練習ができていない選手の故障などが懸念されたためだ。

 休校の影響から、授業時間の確保に向けて夏休みを短縮する学校も多い。地方大会を行えば学業の支障になることも理由となった。

 活動再開の時期がみえない野球部がある中で、甲子園への代表校を決めるには、7月中旬までに全ての地方大会を始める必要があった。日程的な問題も含め、全国大会を開くには課題が多すぎたといえる。

 選手権大会は1915(大正4)年、全国中等学校優勝野球大会として大阪・豊中球場で始まった。予定された大会の中止は米騒動が起きた18年と、戦時色が強まった41(昭和16)年の2回しかない。42~45年は太平洋戦争で中断された。

 戦時中断を除き、春夏連続で甲子園大会がないのは初めてとなる。

 夏の甲子園には全都道府県の高校が出場する。試合は各校の関係者だけでなく、地元住民や出身者が注目し、応援する。郷土意識を再確認する場であり、夏の風物詩としても定着している。

 この大会が高校スポーツを超えた国民的行事になっていることは事実だが、あくまで学校教育の一環として行われているものである。

 感染拡大により、夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)なども中止になった。体力を培い、人間形成を図るという学校スポーツの本来の意義を、生徒たちに理解してもらう努力をしなければならない。

 しかし教育の面からみても、練習成果を発揮する機会がなければ、部活動として完結できないだろう。安全を優先しつつ、何らかの代替措置が実現できないか、関係者の工夫を期待したい。

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