社説

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 安倍晋三首相はきのう、新型コロナウイルス特措法に基づき全国に発令していた緊急事態宣言について39県の解除を決めた。

 兵庫、大阪、京都と東京など8都道府県の解除は見送られ、自粛や行動制限を続けるかは各知事の判断となる。兵庫県は大阪府と歩調を合わせる形で施設や飲食店への休業要請などを段階的に解除する方針だ。

 首相は会見で「コロナの時代の新たな日常を取り戻す本格的なスタート」と述べ、感染予防と経済活動再開との両立に意欲を示した。

 だが、脅威が去ったわけではない。経済活動が動きだし、人の流れが増えることで感染の第2波を招く可能性もある。先行して緩和に踏み切った韓国では早速ナイトクラブで集団感染が発生した。

 今後も警戒を緩めず、一人一人が感染防止を意識した行動を続ける必要がある。

 政府は専門家会議の提言を受け、解除基準として「過去1週間の新規感染者が人口10万人当たり0・5人未満」の数値を示した。各地の医療体制や検査件数などと併せて総合的に判断したという。

 ただ、石川のように目標値に達していないのに解除された県もあれば、兵庫のようにこの数値は満たしていても見送られた県もある。この点に関し、首相らから十分な説明があったとは言い難い。

 解除が進んでも、慣れ親しんだ日常には当面戻れない。国民にさらなる行動変容を求めるなら、事態の収束に向かう明確な目標をより分かりやすい形で発信すべきだ。

 懸念されるのは、流行の再燃による医療崩壊である。この1カ月で、院内感染の多発などが救急医療と通常の診療を圧迫し、危機的状況に陥った地域もある。第2派を想定し、感染者用の病床と療養施設、人手とマスク、医療用ガウン、人工呼吸器などの確保を進めねばならない。

 全面解除に向けては、感染状況を把握するPCR検査の拡充が欠かせない。医師会などと協力した「検査センター」の設置が急がれる。

 自治体が果たす役割もより大きくなる。行動制限をどこまで緩和するかの判断は住民に直接影響を及ぼす。その権限を持つ知事たちには、分かりやすく説得力のあるメッセージを積極的に発してもらいたい。

 マスク不足や検査件数の伸び悩み、深刻な打撃を受けた事業者らへの支援策の遅れなどを巡り、国民の政治不信は深まっている。

 首相は「私の責任は国民の命と暮らしを守り抜くこと」と述べた。専門家の見解や国民の努力に頼るばかりでなく、野党の声も聞き、政治生命をかける覚悟で臨むべきだ。

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