社説

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 厚生労働省が、発熱やせきなど新型コロナウイルスの感染が疑われる症状が続く場合は、すぐに相談・受診できるよう目安を緩和した。

 従来は、風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続く場合、各地の保健所などに設置された相談センターを通じて専門外来を受診するなどとしていた。今回の見直しで「37・5度以上」という体温の条件を削除した。

 変更に踏み切ったのは、目安を満たしていないとの理由で検査や受診ができなかったり、体調不良でも相談を控えたりして自宅で症状が悪化する人が相次いだからだ。当初から批判があったにもかかわらず3カ月近く改善されなかった。厚労省はもっと迅速に対応するべきだった。

 相談するかどうかの目安が、現場では検査などの「基準」のように扱われていたことも混乱を広げた。医師に検査不要と判断され、自宅にとどまっていた人が症状を悪化させ死亡した事例も出ている。

 加藤勝信厚労相は記者会見で「われわれから見れば誤解」と発言した。国民や相談を受ける保健所などへの責任転嫁としか受け取れず、聞き捨てならない。真摯(しんし)に反省し、改善に努めるべきだ。目安はあくまで判断材料の一つであることを周知徹底し、感染者の把握と重症化の抑止につなげねばならない。

 相談しやすくなっても、その先の態勢には課題が残る。保健所の仕事は相談や検査への対応、クラスター(感染者集団)の追跡調査など多岐にわたる。政府の専門家会議は、業務量の増加に保健所が対応しきれない現状に危機感を訴えた。

 共同通信が4月中旬、兵庫を含む感染者の多い16都道府県の35保健所に実施したアンケートでは、9割に当たる32保健所が「ぎりぎりで対応している」「事実上、限界を超えている」と回答し、多くが相談の多さや人員不足を理由に挙げた。

 目安の緩和でさらに相談の増加が見込まれる。保健所の担当者からは「検査を受けやすくなると誤解される」「業務が逼迫(ひっぱく)するのではないか」との声も上がる。厚労省はこうした不安に応え、保健所の態勢強化に責任を持たねばならない。

 担当部署以外の職員が応援に入る自治体もある。PCR検査の検体搬送に民間輸送の力を借りるなど、負担軽減を図ってほしい。医師会と協力して保健所ルート以外のPCR検査を拡充することも急がれる。

 流行の第2波も予想され、対策の長期化は避けられない。地域の感染状況の把握や病床・宿泊施設の確保を早急に進め、万全の準備を整える必要がある。

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