社説

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 他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙の防御策強化を盛り込んだ改正健康増進法と、兵庫県の改正受動喫煙防止条例がともに4月に全面施行され、1カ月が過ぎた。

 世界的には「屋内全面禁煙」が標準となっている。しかし、日本の取り組みは最低水準にとどまる。

 国内では受動喫煙が原因の病気で年間1万5千人が命を落としているとの推計がある。さらに、喫煙歴は新型コロナウイルス重症化の要因になるとも指摘される。対策は待ったなしだ。受動喫煙ゼロに向け、着実に歩を進めねばならない。

 改正法の全面施行により、飲食店や職場、劇場、ホテルのロビー、交通機関といった不特定多数の人が利用する場所は原則として屋内禁煙となった。ただし、煙の漏れない喫煙専用室内では吸える。

 学校や官公庁、病院などは一足先に昨年7月から屋内、屋外ともに敷地内が原則禁煙となった。

 県の条例は法律より一歩踏み込み、私的な空間も規制対象とした。20歳未満の人や妊婦がいる家庭と自家用車内での禁煙を義務付けた。公園や子どもが参加する祭りの会場も禁煙としている。

 たばこの煙の影響は、大人より子どもの方が深刻だ。県民一人一人が共通認識を持ち、行動に移す努力を重ねたい。

 前進したとはいえ、法律、条例とも十分とはいえない。最も受動喫煙しやすいとされる飲食店の規制に「抜け穴」があるからだ。

 客席面積が100平方メートル以下で個人経営か資本金5千万円以下の既存店は、経過措置として「喫煙可」などの表示をすれば喫煙できる。たばこ産業や飲食業界に配慮する自民党が反対したためだが、こうした例外は早期になくすのが望ましい。

 法律で加熱式たばこの規制が紙巻きたばこより緩い点も不可解だ。加熱式は「周囲に及ぼす害が少ない」といわれ、喫煙専用室での飲食も可能になった。しかし、健康への影響は解明されていない。紙巻きと同様に規制も検討すべきではないか。

 市街地の屋外喫煙所も課題が多い。人通りが多い上に壁などで明確に区切られておらず、煙の流出への苦情が絶えない。受動喫煙防止に逆行する。姫路市はJR姫路駅や姫路城の周辺の喫煙所を昨年度に撤去した。他の自治体も考えてほしい。

 制度を定着させ社会全体で受動喫煙を減らすには、息の長い啓発とともに、飲食店や企業などの対策が適切か監視する仕組みが欠かせない。国と自治体の本気度が問われる。

 喫煙者に禁煙を促す支援策も重要だ。健康経営の観点から、企業も積極的に取り組んでもらいたい。

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