社説

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 スポーツ競技に懸ける中高生の晴れ舞台も消えてしまった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)が中止になった。同様に、兵庫県高校総体も夏季競技が全面中止、夏の全国中学校体育大会(全中)も開催を断念した。

 インターハイや県高校総体、全中の中止は初めてだ。大会に向けて練習に打ち込んできた選手や指導者からは、悲痛な声が聞こえてくる。生徒たちの失意に寄り添い、悔しくつらい心を支えていきたい。

 1963年に始まったインターハイは30競技の高校日本一を決める。部活動の集大成であり、選手らの目標であり続けてきた。全中も中学生にとって夢の大会だった。

 全国高等学校体育連盟(全国高体連)は無観客開催や規模縮小も検討していた。しかし感染リスクが依然大きいことに加え、休校の長期化で十分に練習できず、けがや事故が懸念される。予選を兼ねた地域の大会も次々と中止となる厳しい状況を踏まえれば、不可避の結論だった。

 五輪開催の影響を受け、今年のインターハイは準備段階から苦労を強いられた。施設確保が難しく、東北から九州の21府県に会場を分散する異例の形でようやく開催にこぎつけた経緯がある。神戸でも柔道が予定されていた。それだけに選手のみならず関係者の無念は大きい。

 全国高体連の岡田正治会長は「この決定は夢を奪うことではない。安心安全、命を守ることを選んだ」と述べた。生徒の健康と命は何よりも重い。部活や大会は学校教育の一環であり、健全な成長のために存在することを、この機会にあらためて生徒たちに伝える必要がある。

 一方で懸念されるのが、3年生の進路への影響だ。大学のスポーツ推薦などでは、インターハイの成績が選考基準の一つになるという。

 全国高体連は、部活動の成果を出せる場を設けることについて、各府県の高体連などに要望している。感染の終息時期にもよるが、この代替策は何とか実現させたい。

 選手たちが不安や不公平感を持つことがないよう、大学や実業団の側にも配慮を求めたい。感染拡大が、高校生の将来を左右するようなことがあってはならない。

 柔道日本男子の井上康生監督は、自身のブログで「高校生の皆さんにとってとてもつらい決定かと思います。しかし、皆さんの人生はこれからです」と発信した。

 部活で積み上げてきた努力は決して無駄にはならない。中高生たちが逆境をばねにし、次に参加できる大会で、あるいは人生の次の舞台で活躍できるよう応援したい。

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