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 政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を今月末まで25日間延長すると決めた。

 会見した安倍晋三首相は「感染者の減少が十分とは言えず、医療現場の逼迫(ひっぱく)を改善するには1カ月程度必要」と理由を説明した。

 引き続き全都道府県を対象とするが、感染拡大が抑えられている地域では社会経済活動の再開を一部容認する。14日をめどに行う感染状況の分析次第で、地域ごとに解除の前倒しも検討するという。

 感染拡大防止へ行動制限を持続しつつ、社会活動の再開を探ろうとした苦心の跡はうかがえる。だが、違和感は拭えない。首相が肝心な点を語っていないからだ。

 首相は1カ月間で宣言を解除できなかったことを「国民におわびする」と陳謝した。今後の1カ月は「次なるステップへの準備期間」と位置付け、「コロナの時代の新たな日常をつくり上げる」と述べた。

 聞きたかったのは何が足りなかったのかという説明であり、どうなれば宣言が解除され、日常生活に戻れるのかという「出口戦略」である。

 新規感染者数の推移、経路不明の感染者の比率、感染者1人から平均何人にうつるかを示す実効再生産数など、判断材料になる項目はいくつか挙がったが、数値目標は示されなかった。これでは国民の不満と不安は解消されない。

 大阪府が解除に向けた独自の指標を示したのは、こうした政府の姿勢にしびれを切らしたからだろう。

 専門家会議が提唱する「新たな生活様式」にも同じ違和感を抱く。

 マスク着用や手洗い、「3密」の回避など示された実践例の大半は既に多くの人が取り組んでいる自粛の延長にすぎない。目標は現在の苦境をいかに抜け出すかである。日常に定着させることではないはずだ。

 長期戦の覚悟を国民に迫るなら、政府は科学的根拠に基づく情報を積極的に公開し、ともに目指すゴールをはっきり示す必要がある。

 喫緊の課題は、感染の全体像を把握するためのPCR検査の拡充だ。首相も遅れを認めている。医療機関や保健所の人員と医療用マスクなどの確保は欠かせない。医師会などと連携した検査センターの開設は兵庫県でも進めてもらいたい。

 家庭内感染の増加も気がかりだ。軽症者用の療養施設に加え、保護者が感染した際に子どもを預けられる場所も必要になる。

 休業の長期化で倒産や雇い止めが増えるなど経済への影響は深刻化している。政府は緊急事態の延長に見合った追加の支援策を待ったなしで進めるべきだ。

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