社説

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 確かなのは、私たちはまだ先が見えないウイルスとの闘いの真っただ中にいるということだ。

 安倍晋三首相は新型コロナ対策の特別措置法に基づき、6日を期限としていた全国の緊急事態宣言を、1カ月程度延長する方針を表明した。

 政府の専門家会議はきのう、新たな感染者数は減少傾向にあるものの医療現場の逼迫(ひっぱく)は解消されていない、とする現状分析を示した。外出自粛などの「行動変容」を今後も徹底する必要性を強調し、事実上、緊急事態の延長を促した形だ。

 兵庫県など7都府県が対象となった最初の宣言からまもなく1カ月、全国に拡大されて2週間となる。

 宣言の目的は感染拡大に歯止めをかけ、医療崩壊を防いで国民の命を救うことにある。一定の効果は見られるとはいえ、感染は地方に広がり医療や介護の現場が危機に直面している地域もある。延長はやむを得ない判断だろう。

 政府は4日に国会報告し、首相が会見する。どんな状況になれば解除されるのか。日常を取り戻すためにどんな支援策に取り組むか。首相は科学的根拠に基づく見通しを示し、率直に国民の理解を求めるべきだ。

 一方、長引く外出自粛や休業要請で家計や経済活動は既に大きな打撃を受けている。休校の長期化で子どもたちの学ぶ権利が脅かされている。家庭内の虐待や暴力から逃げ場を失い、つらい日々を送っている人がいるのも気がかりだ。

 多くの痛みを伴う行動制限をさらに求めるなら、現行の支援策では不十分だ。国は宣言延長に見合う支援策を講じる責任がある。

 実際に休業要請などの権限を持つ都道府県知事は、これまで以上に正確な情報を発信し、丁寧に説明する必要がある。自治体は、必要とする人に迅速に確実に支援が届くよう全力を挙げてもらいたい。

 感染状況を把握するためのPCR検査や、重症者の増加に対応した医療態勢の拡充は急務だ。

 兵庫県はきのう、休業要請に応じないパチンコ店に特措法45条に基づく休業指示を出した。外出自粛や休業要請に罰則などの強制力を持たせる法改正を目指す動きもある。

 だが、国や自治体が国民の自由を縛る権限を強める法改正には慎重であるべきだ。宣言の効果を含めコロナ対策の教訓を将来に生かせるよう政策決定の過程を記録し、災禍が去った後に検証できるようにしておくことも忘れてはならない。

 長丁場の闘いになる。最前線に立つ医療従事者らへの差別や厳しすぎる他者への視線は社会のつながりを弱める。一人一人が行動を見直し、支え合って困難を乗り越えたい。

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