社説

  • 印刷

 2020年度の診療報酬の改定内容が固まった。医療サービスの対価として病院などに支払われる公定価格を意味する。

 財政難の中、報酬全体は0・46%の引き下げとなった。しかし医師らの技術料や人件費に当たる部分は0・55%引き上げられた。24年度から勤務医に残業規制が導入されるのを見越して、職員増により医師や看護師の負担を減らす狙いがある。

 診療報酬は税金や保険料、窓口支払いが財源だ。改定で窓口負担が増す患者の理解が得られるよう、医療サービスの向上につなげなければならない。

 柱の一つは救急医療への報酬引き上げだ。救急車やドクターヘリによる患者搬送件数が一定規模を上回る病院を対象に、計400億円を上積みする。

 救急医療を重視する方針はうなずける。ただ件数だけで判断するのでは、都市部以外の病院が不利になる。医師の確保も含め、地域を問わず維持強化する視点が欠かせない。

 報酬加算には働き方の改善計画策定を条件づけている。きちんと実行されているか点検する仕組みも作るべきだ。

 また、医師の事務作業の補助職員を置いた際の加算制度を拡充したほか、看護師が麻酔の一部を担っても報酬が入るように改めた。

 勤務医の負担を軽減するには、専門的な業務以外はできるだけ他の職種に委ねることを、制度面から促す必要がある。

 一方、紹介状なしで大病院を受診した患者から、診察代とは別に追加料金を徴収する制度を拡大する。対象となる病院は5割以上も増える。大病院が重症者などの治療に専念できるよう後押しするとともに、地域のかかりつけ医の受診を促す。

 医療スタッフや機材など限りある医療資源を社会全体で有効に活用するために、大病院への患者の集中を解消することは長年の課題だ。そのためには、信頼されるかかりつけ医を増やすことが欠かせない。双方の役割分担について、社会全体で認識を深めることも必要だ。

 膨らみ続ける医療費の適正化は待ったなしだ。地方の医師不足も深刻な状況にある。診療報酬にとどまらず、社会保障全体の抜本的な見直しが急がれる。

社説の最新
もっと見る

天気(5月30日)

  • 27℃
  • 19℃
  • 10%

  • 27℃
  • 13℃
  • 10%

  • 29℃
  • 17℃
  • 10%

  • 30℃
  • 16℃
  • 10%

お知らせ