社説

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 引き続き持ちこたえているが、どこかで「オーバーシュート」と呼ばれる、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が起きる恐れがある。

 政府の専門家会議は、先週末に公表した新しい見解で、今後の推移について強い懸念を表明した。

 日本では今のところ、早期封じ込めが功を奏したとされる。ただ経路のたどれない例が各地で確認され、知らないうちに感染が広がっている可能性も否定できない状況だ。

 子どもらの休校措置や活動自粛などで疲れが出るころだろう。経済活動にも深刻な影響が出ている。

 とはいえ、ひとたびオーバーシュート状態になれば、患者急増に地域の医療が追い付かなくなる。そうした事態を回避するため、地道に対策を続けることが重要だ。

 専門家会議は今回、想定される最悪のシナリオを提示した。

 1人から感染する人数は、国内では1人前後。欧州並みの2・5人程度になると、人口10万人の都市では1日の新規感染者が50日目で5414人となり、62日目には重篤患者が千人を超え人工呼吸器が不足する。

 そうなれば救済できる命も救えなくなる。感染の連鎖を小さくとどめるにも、拡大の兆候を察知する難しさを専門家会議は指摘する。

 2月下旬には「1~2週間が瀬戸際になる」としていた。今回は「長期戦を覚悟する必要がある」と評価を変えた。予想を超えた感染力に苦慮しているのが実情だろう。

 「人混みや換気の悪い密閉空間を避ける」「大規模イベントの開催に慎重な対応」などを引き続き呼び掛ける一方で、感染が確認されていない地域では学校活動やスポーツ、文化施設の利用を容認した。

 人との接触をなるべく避けるのが原則とされるが、どのような対策が効果的かは専門家も定かではない。警戒を緩めず、従来の対応を踏まえて柔軟に-と促すにとどまった。

 現状では、発症者の8%に人工呼吸器か集中治療室での治療が必要とされる。最優先は重篤患者を手厚く治療できる医療の確保である。

 10年前の新型インフルエンザ流行時に日本呼吸療法医学会が行った調査では、使用可能な人工呼吸器の台数が乏しい地域が兵庫県内にもあった。高度医療には訓練を受けた人材も必要となる。現在の医療資源を、地域を超えて有効活用することだ。

 専門家会議は、患者増加を見越して、一般病院も含めた医療機関の役割分担や人材の相互支援などによる受け入れ態勢の構築を求めた。

 行政は早期に医療の仕組みを整えて今後の事態に備えてほしい。国は地方の取り組みを情報提供や財政面などで最大限、支援すべきだ。

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