社説

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 新型コロナウイルスの感染者が増える中、兵庫県内の多くの自治体でも休校が延長された。

 卒業や学年末といった大事な節目を挟み、1カ月以上の長い休みとなる。子どもたちの運動不足やストレス、学習の遅れが心配だ。国と自治体は実態把握に努め、きめ細かな支援を急がねばならない。

 「昼ご飯をちゃんと食べているか、生活が乱れていないか、心配な子は多い」。こうした声がとりわけ県内の小中学校から上がっている。

 親が仕事のため子どもだけで留守番をしている家もあり、家庭訪問しようにも難しい状況という。気になる児童や生徒の自宅に電話したり、手紙を届けたりする教員は少なくない。それでも「様子を把握しきれない」との悩みは切実だ。

 子どもへの目が届きにくくなっており、社会全体で見守る体制が一層求められる。特に、経済的困窮などで孤立しがちな家庭には丁寧な目配りが欠かせない。

 学校、教育委員会、児童相談所など関係機関の情報共有や連携が重要なのは言うまでもない。

 日々の栄養を学校給食に頼る家庭もある。共働き世帯は今や約7割に上る。今回のような事態であればなおさら、給食に代わる手だてを国レベルで検討するべきだろう。

 休校中の多くの学校は、通知表などを渡すため春休みまでに数日間の登校日を設けている。学校は児童、生徒に異変の「芽」がないか、注意深く見てほしい。子どもたちには、困ったときに相談できる窓口を伝えてもらいたい。

 健康維持やストレス解消のために、外で体を動かすことは大切だ。文部科学省はその重要性を認め、3月に入って「安全な環境の下での日常的な運動を一律に否定していない」との見解を出した。

 学童保育の過密の問題も指摘されている。感染予防対策をした上で、校庭などの学校施設を積極的に開放してはどうか。学年別に利用時間を区切るなど、一度に大勢が集まらない工夫は可能だろう。子どもが安心して遊べる場所の確保が望まれる。

 学習面では、未履修の部分をどうカバーするかが課題である。授業の「積み残し」を新学年に引き継ぎ、必要に応じて個別に補習を行うなど柔軟な対応を求めたい。

 文科省はこのたび、自宅学習用の「子供の学び応援サイト」をインターネット上に開設した。しかし、だれもがネットを活用できる環境にあるとは限らない。

 学びの機会を保証するために、中長期的には全小中学生がオンライン学習できるような環境整備や支援策に取り組むべきである。

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