社説

  • 印刷

 政府が新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、感染者数が増え続ける中国と韓国からの入国制限を強化した。9日から現地滞在の日本人も含め、両国からの入国者すべてに指定場所で2週間の待機を要請する。

 入国禁止にも匹敵する内容である。日本での感染が初期段階なら、水際作戦として一定の効果は期待できる。しかしクラスター感染が国内各地で発生し始めた今となっては、遅きに失した感がある。

 一方で、デメリットは極めて大きい。中韓からの入国者は外国人入国者の4割を超える。日本も含めた各国の国民生活や経済活動だけでなく、外交関係にも影を落としかねない。

 地理的にも歴史的にも密接な関係にある日中韓が、今こそウイルス封じ込めに向け連携を強めねばならないときだ。

 そのことを政府は十分認識して、国民に制限強化の必要性を明確に説明するとともに、中韓両政府との意思疎通を十分に図らねばならない。

 中国からの入国制限は、武漢を中心に死者数も急増していた1月の段階で野党が求めていた。しかし政府は、経済への影響などを理由に消極的だった。

 方向転換の要因とうかがえるのは、感染症対策を理由に日中両政府が発表した習近平・中国国家主席の訪日延期だ。その直後に日本政府は入国制限強化を打ち出した。

 訪日は当初、4月の予定だった。安倍政権にとって今年最大の外交行事であっただけに、習氏への配慮から制限強化に踏み込めなかったのではないか。またも後手に回る結果となった。

 中国は入国制限に理解を示したが、韓国は反発を強め、日本からの入国手続きを厳格化するなどの対抗措置を打ち出した。昨年の輸出規制でこじれた日韓関係の悪化が懸念される。

 感染者は中国で8万人、韓国で6千人、日本はクルーズ船の乗客らを含め千人を超えた。症例の蓄積はウイルス対策の貴重なデータに結びつく。3カ国の協力が重要な意味を持つことを認識してもらいたい。

 日本からの入国を制限する国も増え始めた。強化すべきは、拡大の実態を見据えた科学的知見に基づく対策である。

社説の最新
もっと見る

天気(6月8日)

  • 28℃
  • 18℃
  • 0%

  • 31℃
  • 13℃
  • 0%

  • 31℃
  • 18℃
  • 0%

  • 33℃
  • 16℃
  • 0%

お知らせ