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 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大が、地域経済に深刻な影響を及ぼし始めた。

 神戸港で国内最大級のレストラン船を運航する企業が先日、民事再生法の適用を申請した。一昨年来、台風や地震などの自然災害で運航中止が相次ぎ、燃料費も高騰し資金繰りが悪化していたが、今年に入り新型肺炎の影響とみられるキャンセルが多発し、破綻の引き金となった。

 全国では訪日外国人客の宿泊キャンセルが相次ぎ、愛知県では旅館が破産申請する例も出ている。しかし今回の神戸の企業は外国人客に大きく依存しておらず、内需に「自粛」が大きな影を落としている表れだ。

 消費税増税などで昨年10~12月の日本経済は実質マイナス成長に落ち込んだ。そこへウイルス禍が拍車をかけようとしている。雇用面などで国民生活が打撃を受けないように、政府、日銀は政策を総動員して万全の対策を講じねばならない。

 安倍晋三首相の要請を受け、全国の小中高校の大半は臨時休校に入った。子育て中の共働き世帯に負担が及ぶだけでなく、学校給食の関連なども減収を強いられる。

 政府は、保護者の休職に対応する助成金創設や、雇用調整助成金の特例拡充を決めた。それで十分とせず、影響をきめ細かく精査して経営全体を支援するような方策も考える必要がある。

 感染が世界で初めて確認された中国がいつ終息に向かうかも、日本経済の今後を大きく左右する。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した2003年当時と異なり、今や世界第2位の経済大国である。日本、特に関西の製造業は、中国での感染終息が見通せなければ現地での工場操業が滞り、サプライチェーン(部品の調達・供給網)が成り立たない。市場としての存在感も大きく、販売の減少は痛手になる。

 アジア太平洋研究所(大阪市)は、感染拡大の悪影響が10月下旬まで続けば関西経済はマイナス成長に陥る恐れがあると予想する。訪日客消費と中国向けの輸出減少が要因だ。外出自粛などによる国内消費の減少は織り込んでおらず、下振れの懸念が否めない。

 影響が長引くほどしわ寄せは中小・零細企業に及ぶ。神戸商工会議所の家次恒会頭は、このまま自粛が行き過ぎると「飲食や物販の経営は成り立たない」とし「資金繰り悪化による倒産を全力で回避したい」と述べた。

 金融機関が取引先の支援を怠らないよう努めるとともに、政府や行政も公的融資の対象を弾力的に適用するなどで、多くの国民の雇用を担う中小の経営を支えてほしい。

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