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 新型コロナウイルスの感染者が兵庫県内で初めて確認された。

 県は行動経路などの調査を急いでいる。全国では展示会やライブハウス、スポーツジムなどで「クラスター」と呼ばれる集団感染が相次いで見つかっており、他地域の感染者の行動と共通点があれば、拡大阻止の糸口にできる。

 感染は北海道から沖縄まで広範囲に及び、兵庫の発生も時間の問題ではあった。現状では軽症や回復例が多数を占めており、極度に恐れる必要はないだろう。手洗いを欠かさず睡眠や栄養を十分に取るなど、日常生活での防止意識を一層高めたい。

 重要なのは感染者の重症化を防ぐことだ。高齢や持病がある感染者には、重症や死亡例も目立つ。県は拡大阻止に向け国や他の自治体と連携を密にするとともに、医療機関の受け入れ態勢の強化を急いでほしい。

 先週末の安倍晋三首相の要請を受け、県内の小中高校や特別支援学校などの大半は休校を決めた。企業の在宅勤務や商業施設の営業時間短縮、イベントの延期や中止などの影響も広がり、日本社会全体がウイルス対策一色となっている。

 命や健康を守るためやむをえない措置としても、懸念するのは社会の萎縮が及ぼすマイナス効果だ。

 県内では神戸港を拠点とするクルーズ船の運営会社が破綻した。事業者の売り上げ減少が長期化すれば、雇用にも悪影響が及ぶ。今後、感染が終息しても、日本経済が回復軌道に乗れない可能性が出てくる。

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁がきのう、潤沢な資金供給と市場の安定確保に努めるとする異例の談話を発表し、下落続きの株価はようやく上昇に転じた。留意すべきは、長引く異次元緩和路線で金融政策の持ち駒が限られる点だ。政府も連携して実効的な対策を練り上げねばならない。

 感染拡大とともに、国民の不安を増幅しているのはマスクの供給不足だ。トイレットペーパーなどの紙製品も店頭から姿を消した。

 首相は先週末の会見で、十分な供給量があり増産も促していると説明したが、国民が目に見えて安心できる材料を提示したとは言いがたい。

 実際の在庫量を数字で示し、物流ルートのネックの解消策や、店頭に行き渡る目安も説明する。そうした具体的な行動を伴わずに「決意」や「覚悟」といった抽象的な言葉ばかりを並べても、国民が一度抱いた不安は容易に解消しない。

 専門家は、この1、2週間が日本で感染拡大を抑え込めるかの瀬戸際と指摘する。国民の不安や混乱を沈静化できるかの分水嶺(れい)であることも政府、自治体は認識しなければならない。

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