社説

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 神戸市の2020年度当初予算案は、市街地の再整備や子育て環境の改善に力を入れる内容となった。総額は1兆8591億円と前年から3%以上伸びる積極姿勢となった。

 直面する課題は人口減少だ。明石市や尼崎市は再開発や子育て支援を積極的に進め、若年層を呼び込む。

 阪神・淡路大震災の復旧が最優先だった神戸は、25年を経てようやく攻めの施策が打てるようになった。久元喜造市長は「都市全体のインフラを整え、所得増や税収増に結びつける」との青写真を描く。誰もが住みやすさを実感できる街にすることで、人を呼び込みたい。

 市街地再整備は中心部の三宮に加え、郊外の駅周辺も対象とする。民間マンションの建設を促して定住人口の増加につなげるほか、芸術ホールや図書館なども計画する。

 高度成長期に整備されたニュータウンで空き家が目立つ光景は、神戸に限らず多くの都市に共通する。効率性を重視した結果、どこも似たような街並みになり、陳腐化したことも一因だ。重点的に投資して街の魅力を高める狙いがある。

 だがハコモノを整えても、閑古鳥が鳴くようでは維持費負担が重くのしかかる。市民が有効に利用できるようなソフト面の施策強化も、並行して考えねばならない。

 子育て支援では中学校給食の保護者負担の半減に加え、児童養護施設職員の処遇改善やひとり親家庭の支援、特別支援学校生への医療的ケアの充実などが新たに計上された。

 子どもを取り巻く環境は一人一人異なる。支える大人を対象とするものも含めて、多彩なサポート策を整えることが重要だ。

 再整備などの投資的経費が今後も20年度予算案の902億円で推移した場合、市財政は21年度から、歳出が歳入を上回る収支不足に陥ると市は試算する。税収が大きく伸びないのに投資が高止まりし、社会保障経費も毎年二十数億円増えるためだ。

 市は各種の事業見直しで毎年20億円弱を浮かせる想定だが、収支不足の解消には至らない。過去の蓄えを取り崩すか、借金を増やすかを迫られる。もくろみ通りに再整備が人口増や企業進出に結びつき、税収を伸ばすとしても、実現するのはしばらく先の話になる。

 三宮の街の骨格は、震災前と大きく変わっていない。高齢化や公共交通の強化などに対応するためにはリニューアルが必要だ。しかし「再整備ありき」で市民生活や財政に大きなしわ寄せが及ぶようなら、本末転倒である。

 多くの市民の声に耳を傾け、費用対効果を十分見極めた計画を練りあげねばならない。

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