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 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が止まらない。

 中国本土の死者は千人を優に上回り、感染者は約6万人となった。南米やアフリカを除く国や地域にも広がっている。

 日本国内でもきのう、和歌山県の外科医や東京都のタクシー運転手が感染者と確認された。200人超の集団感染となっているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員・乗客を除けば、国内でも感染者は徐々に増えている。

 中国政府の専門家チームのトップは、感染拡大のピークは「2月中旬から下旬」との見解を示すが、春節(旧正月)の大型連休が終わり経済活動が再開されることから、事態が収拾に向かうかは不透明だ。

 日本政府は中国に滞在する邦人に早期の帰国を至急検討するよう呼び掛けた。外国人の入国を拒否する対象地域に中国・浙江省を追加した。ウイルス侵入を水際で阻止するのが最大の狙いだ。

 だが世界でこれだけ広がっている以上、もはや水際で阻止できるとは考えにくい。国内にも感染者が一定数存在するとの前提で、医療や衛生対策を講じる必要がある。過度に恐れれば差別につながりかねず、冷静に対処せねばならない。

 ウイルスの実態は、少しずつ解明されている。

 流行の始まった中国・武漢での死亡率は特に高い。日本でも初の死亡例が確認されたが、他の国ではほとんど出ていない。感染力や致死率はインフルエンザよりやや高い程度とする見方が多い。

 高齢者や糖尿病などの持病がある人は重症化するリスクが高く、とりわけ注意が必要だ。発症前の段階でも感染を広げる恐れが指摘されており、一人一人が手洗いやうがいなどの予防策を徹底したい。

 厚生労働省は、感染症患者やその疑いがある人は無症状でも強制入院できるよう政令を改正した。今後、対象者が急増する可能性がある。だが新型肺炎の感染者に対応できる医療施設やベッド数は限られる。

 高齢者や持病を有するなど重症化のリスクが高い場合と、症状がなく当面は経過観察でとどまりそうな場合などを分けて考えなければ、医療従事者や機器類などの不足を招きかねない。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、ダイヤモンド・プリンセスなど3隻のクルーズ船で乗客が下船できなかったり入港を拒否されたりしている件について、根拠のない対応と批判した。

 科学的な判断に基づいて国民の生命や人権を守る。政府の危機管理能力が問われる局面だ。

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