社説

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 英国が欧州連合(EU)を離脱した。2016年の国民投票から約3年半続いた英国社会の混迷に、ひとまずピリオドが打たれる。

 これまでEUには28カ国が加盟していたが、離脱は初のケースだ。英国は人口も経済規模もEU全体の1割以上を占め、離脱によって生じる穴は大きい。

 20世紀に引き起こされた二つの大戦の反省から、欧州各国は統合への歩みを進めてきた。ヒトやモノ、サービスが自由に往来することで紛争を未然に防ぐとの理念が、1993年のEU発足に結びついた。

 99年には通貨ユーロも導入し、巨大市場として共存共栄を目指す。

 しかし移民流入を拒めないなど、内政面でもEUルールに従わねばならない点に、英国は背を向けた。発足から四半世紀を経たEUは、歴史の岐路に立たされている。

 今年末までは激変緩和のための移行期間となっており、見かけ上は英国にもEUにも、大きな変化は起こらない可能性が高い。

 問題はこの間に、英EU関係についての協議が円滑に進むか否かだ。

 ジョンソン首相は移行期間中にEUと貿易協定を結ぶ考えを示す。離脱後もEU各国と有利な条件で貿易を続ける狙いだが、EUがその意向を受け入れるかは見通せない。

 ジョンソン氏は移行期間を延長しない構えだ。協議が不調に終われば「合意なき離脱」の懸念が現実になる恐れがある。

 そうなれば英EUだけでなく、国際社会にも混乱が広がる。そのことを両者は認識して、交渉の着地点を見いださねばならない。

 自由な人の往来で職を奪われるといった不満などで、加盟国にEUへの懐疑的な視線が広がっている。

 イタリアやフランスなどでは反EUを掲げた極右議員が支持を集めた。今回の英国の混迷で極端な離脱論は沈静化したが、米トランプ大統領の「自国第一主義」にも刺激され、EU改革を掲げる声は根強い。

 EUが掲げる民主主義や人権の尊重、自由貿易の擁護、環境への配慮といった価値観は、国際社会の安定に重要な役割を持つ。

 だが加盟国の結束が乱れてEUの存在感が薄れれば、気候変動や巨大IT規制など、各国が連携して取り組まねばならない課題の解決は遠のくばかりだ。

 EUにも改善すべき点は多々ある。加盟国間の経済格差は縮まらない上、EUの組織運営の硬直化も指摘されている。

 英国の円滑な離脱を実現させるとともに、統合の原点に立ち返って加盟国の不満に率直に向き合う。求心力を高めるのがEUの急務である。

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