社説

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 国会論戦が本格化し、災害復旧から東京五輪後を見据えた経済対策までを盛り込んだ2019年度補正予算が、与党などの賛成多数で成立した。拡大する新型肺炎への対策強化などの緊急課題も浮上した。

 だが、主戦場となる衆参両院の予算委員会は、大半が「桜を見る会」や閣僚らの「政治とカネ」を巡る疑惑追及に費やされている。

 こうした状況に、安倍晋三首相が「大切な審議時間が政策論争以外に割かれ、国民に申し訳ない」と苦言を呈する場面もあった。

 しかし、建設的な政策論争を妨げているのは疑惑に正面から答えない首相の姿勢そのものである。丁寧な答弁を心がけない限り、議論は深まりようがない。野党を非難する前に深く自省すべきだ。

 特に桜を見る会に関しては、これまでの説明との矛盾点や、新たな疑問が次々発覚している。

 政府が正式な招待状を発送する前に、首相の事務所が招待通知を推薦者に送っていたことが分かった。首相の推薦者は無条件に招待されるとの思い込みがあったという。申込期限は省庁など他の推薦枠より遅くまで認められていた。

 首相後援者らの優遇が慣例化していたことになり、税金で賄う公的行事の「私物化」疑惑が深まった。

 地元事務所による、桜を見る会を含む観光ツアーの募集に絡み、首相は「募っているが、募集ではない」と釈明して失笑を買った。理解を得るための説明でなく、はぐらかすことしか頭にないのがよく分かる。

 招待者名簿やホテルでの夕食会費の明細などの再調査については、「個人情報」や「営業の秘密」に加え、「国家機密漏えいの危険」まで持ち出して拒んでいる。

 潔白を証明し、追及を終わらせるには、徹底的な調査を指示し、速やかに公表して事実関係を明らかにするのが早道ではないか。

 深刻なのは、政権の体質ともいえる公文書管理のずさんさである。

 これまで「適切に廃棄した」と強弁していた名簿の扱いについて政府は、「廃棄簿」に記載しないなどの公文書管理法違反があったと認め、内閣府の歴代担当者を処分した。

 廃棄した記録がない以上、首相が繰り返す「名簿がないので調べようがない」との説明も信ぴょう性が揺らぐ。メールやデータの復元を試みるなどあらゆる手を尽くし、国会で説明責任を果たさねばならない。

 都合が悪い質問には答えず、ごまかしきれなくなると官僚に責任転嫁する。国民の財産である公文書を捨てたり、隠したりする行為に罪悪感を持たない。そんな政治からはいずれ国民が離れていくだろう。

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