社説

  • 印刷

 経団連と連合のトップ会談がきのう開かれ、2020年の春闘が事実上スタートした。

 景気の減速感が続く中、個人消費を刺激して安定した内需につなげるには、ここ数年続く賃上げの流れを確かなものにする必要がある。

 「社会的な期待も考慮しつつ、賃上げへのモメンタム(勢い)を維持する」。経団連は春闘の経営側指針にこう盛り込み、基本給を底上げするベースアップ容認の姿勢を示した。ただ、配分に際しては職務や成果を重視するとの立場だ。

 対する連合は「底上げ・底支え」「格差是正」を掲げる。昨年に続いて「2%程度」のベアと、定期昇給などを合わせて4%程度の賃上げを要求している。さらに、企業内の最低賃金を「時給1100円以上」とする目標を初めて据えた。

 実質賃金は伸び悩んでいる。ベアは暮らしの安心感に直結するだけに、労働者側が重視するのは当然といえる。好業績の企業は積極的に応えてほしい。企業規模や雇用形態による経済格差を是正する観点からも、賃上げは重要である。

 国内の大企業と中小企業の賃金差は国際的に見ても大きく、固定化が指摘される。経団連の加盟企業が率先して下請けとの取引価格の適正化に取り組み、中小企業が賃上げしやすい環境整備につなげるべきだ。

 IT化への積極投資で生産性を高めた中小企業は、賃金も高いという傾向が見られる。生産性向上を促す政策的な後押しも進めたい。

 今回、経団連は日本型雇用を労使で見直す場として春闘を位置付けたいと提案した。年功序列や終身雇用、新卒一括採用といった雇用慣行では、経済のデジタル化やグローバル化に臨機応変に対応できない、という危機感の表れといえよう。

 そこで、高度な知識を持つ人材に対しては職務を明確にする米国流の「ジョブ型」を理想に挙げた。

 確かに環境変化のスピードは速く、新卒者を社内研修で育てる従来のやり方では間に合わなくなっている現実があるだろう。

 だが拙速な終身雇用の見直しや人材の流動化は、雇用の不安定化を招く恐れがある。「生き残り」を理由に従業員の待遇を一律に引き下げるようなことがあってはならない。

 見直しを進めるのであれば、労使双方にメリットがある方策を丁寧に時間をかけて議論すべきだ。

 企業は業績が高水準でも利益をためこむ姿勢を強めている。内部留保は463兆円超と、過去最高を更新し続けている。

 人への投資を怠れば、成長は望めない。経営者は改めて肝に銘じてもらいたい。

社説の最新
もっと見る

天気(4月1日)

  • 17℃
  • ---℃
  • 80%

  • 17℃
  • ---℃
  • 90%

  • 17℃
  • ---℃
  • 80%

  • 17℃
  • ---℃
  • 90%

お知らせ