社説

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 安倍晋三首相が政権に復帰して8年目に入った。今年8月24日まで政権を維持すれば連続在職記録でも歴代1位となる。

 自民党総裁としての任期は来年9月までで残り2年を切った。内外の難題に対処しながら、レガシー(政治的遺産)として何を残すのか。長さにふさわしい政権の「しまい方」が問われる年でもある。

 だが、年頭記者会見での首相の言葉からは、そうした覚悟が伝わってこなかった。

 「日本の新時代を切り開く1年」と切り出した会見で、全世代型社会保障の実現を「内閣最大のチャレンジ」と強調したが、具体策は乏しい。一方、憲法改正に関しては質問に答える形で「私の手で成し遂げていく考えに揺らぎはない」と衰えぬ意欲を示した。

 首相が「国難」と位置付けた少子高齢化に歯止めはかからず、対策は急務だ。首相が悲願とする改憲に対し国民の機運が高まっているとは言いがたい。現実を直視せず、民意を見誤った政策を優先すれば、自分のレガシーづくりのために国民を置き去りにした首相として名を残すことになりかねない。

 都合の悪い事実を語らない姿勢も相変わらずだ。「桜を見る会」を巡る一連の問題に関しては「批判を謙虚に受け止め、今後も丁寧に対応していく」としたが、個別の質問には正面から答えなかった。

 統合型リゾート施設(IR)を巡る汚職事件には触れなかった。当時の担当副大臣が逮捕され、政権の看板政策が利権の温床になったと疑われている。全容解明と不正防止に努める決意を示すのが筋だろう。

 米イラン対立が緊迫化する中東情勢に関しては「日本ならではの外交を粘り強く展開する」とし、両国との良好な関係をアピールした。閣議決定通り、10日に防衛相が海上自衛隊に中東派遣命令を出したが、戦闘に巻き込まれる危険性を十分に検討した上での判断なのか。

 20日召集の通常国会で、これらの疑問に正面から答えるべきだ。

 自民党内には、東京五輪・パラリンピック閉幕後に安倍首相が後任に禅譲する「花道論」や、年内解散説、総裁4選論などが渦巻く。

 だがその前に、山積する課題への答えを一つ一つ出す必要がある。隠蔽(いんぺい)体質、国会軽視、責任回避など政治姿勢でも改めるべき点は多い。

 「安倍1強」を支えた自民党は、その功罪を厳しく検証する責任がある。何を継承し、何を変えるかを徹底的に議論し、「ポスト安倍」を競うことが党の活性化にもつながる。長期政権で生じたひずみをリセットできるか、注視したい。

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