社説

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 国内の造船所再編の動きが急を告げている。世界の貿易量と比べ、造船能力などが過剰な状態に陥っているからだ。

 国土交通省は、日本とともに世界市場の9割を占める中国や韓国が造船業に補助し公正な競争をゆがめていると指摘する。対抗するにはさらなる統廃合が避けられないとの見方が強い。

 労働集約型の造船業は多くの従業員を抱える。部品の国内調達率が高く、協力企業も数多い。競争力の高い船舶に転換するなどで、地域への影響を最小限度にとどめるべきだ。

 昨年11月、建造量で国内首位の今治造船(愛媛県今治市)と2位ジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市)が、資本提携で基本合意した。

 専業でオーナー系の今治に対し、JFEグループとIHI傘下の造船会社が2013年に統合した総合重工系のJMUでは歴史も企業風土も異なる。提携は強い危機感の表れといえる。

 三菱重工業は12年に神戸造船所での商船建造を取りやめ、長崎と下関(山口県下関市)に集約した。さらに長崎の2造船所のうち、液化天然ガス(LNG)運搬船などを造る工場を国内3位の大島造船所(長崎県西海市)に売却する検討を始めている。長崎は三菱重工が明治期に造船業を始めた地であり、聖域なき決断が迫られた形だ。

 一方で中国は国有の上位2社が統合し、韓国でもトップ2社が統合作業を進めている。いずれも世界シェアの約2割を握るだけに、日本企業がさらに苦境に立つ懸念が拭えない。

 日本は世界貿易機関(WTO)協定を通じた2国間協議で、韓国に問題点を指摘している。また経済協力開発機構(OECD)造船部会での議論に参加するよう、OECD非加盟国の中国に呼び掛けている。欧州とも連携して粘り強く交渉に当たらねばならない。

 川崎重工業の造船事業も営業赤字の見通しだが、昨年12月には世界初の液化水素運搬船を神戸工場で進水させた。水素をエネルギー源とする未来社会実現への一歩として期待される。

 地球温暖化やエネルギー問題など国際社会が直面する課題に、造船大国の蓄積を官民で結集して取り組んでほしい。

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