社説

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 政府は2020年代半ばの開業を見込む統合型リゾート施設(IR)について、中核となるカジノの規制や事業者への免許付与を担うカジノ管理委員会を発足させた。

 今月中には、全国で最大3カ所となる整備地域の選定基準などに関する基本方針を公表する方針だ。

 IR事業を巡って昨年末、日本でのカジノ運営を狙う中国企業側から利益供与を受けた収賄容疑で秋元司衆院議員が逮捕されたばかりだ。企業側は別の5議員にも現金を渡したと供述し、うち下地幹郎元郵政民営化担当相が受領を認めた。

 政権の看板政策が利権の温床となったとの疑惑が拡大しているのに、政府は手続きを予定通り進めるという。認識が甘すぎるのではないか。

 2年前のIR整備法案審議の際も政府は、懸念されるギャンブル依存症の対策や地域への波及効果などについて議論が深まらないまま成立を急いだ。カジノありきだったのではと疑問を抱く国民は少なくない。

 疑惑の全容を解明し、IRへの不信を払拭(ふっしょく)することが最優先だ。

 内閣府の外局であるカジノ管理委は、公正取引委員会や国家公安委員会などと同様に、各府省の大臣の指揮を受けず高い独立性を持つ。

 委員長を務めるのは元福岡高検検事長で、委員には元警視総監も名を連ねる。安倍晋三首相が強調する「世界最高水準の厳しい規制」をアピールした人事である。

 事業者への免許付与に際し反社会的勢力との関連などを調べるほか、立ち入り権限なども持つ。当面は施設運営などの規則を作るという。

 だが今回の事件は、立案段階での担当副大臣と業者の癒着が疑われている。今後選定作業が本格化すれば、参入を狙う事業者からの攻勢がさらに強まるだろう。

 IRを観光立国の目玉と位置付けるなら、幅広い層の顧客を呼び込むクリーンさが何より重要だ。政官と業者の接触を厳しく規制し、不正を防ぐ仕組みを整える必要がある。

 IRは国際会議場や高級ホテル、商業施設などで構成され、カジノの収益で全体を支えるビジネスモデルとされる。いわば、賭博客の負け金を前提にした枠組みである。

 いくら依存症対策を講じても、カジノが射幸心をあおる施設であることに変わりはない。最近の世論調査でもIR整備に「反対」が6割を超え、国民の懸念は根強い。誘致に名乗りを上げた横浜市では、市民や議会が猛反発している。

 外国人観光客誘致や地域振興を賭博に委ねるのは、果たして適切か。政府や誘致を目指す自治体はいったん立ち止まり、IR事業の必要性を根本から問い直すべきだ。

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