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 中東情勢が緊迫の度を高めている。米軍がイランの有力司令官をイラク国内で空爆し、殺害した。これを機に両国の対立が激化している。軍事的な報復を公言するイランに対し、トランプ米大統領は「大規模な攻撃で応じる」と威嚇する。まさに一触即発の状況だ。

 国連のグテレス事務総長は「地政学的な緊張は今世紀最高レベルになっている」と警告し、両国に冷静な対応を呼び掛けた。「緊張の高まりは、関係国を予想もできない結果を招く決定に導く恐れがある」とも訴え、危機感を示した。

 「世界の火薬庫」とも呼ばれる中東で、超大国と地域大国が戦火を交えれば混乱が世界規模で広がりかねない。両国は武力衝突を回避するために最大限の努力を払うべきだ。

 米国と対立する中ロ、イランと敵対するサウジアラビアやイスラエル、双方と良好な関係にある日本を含め、関係する全ての国が自制を強く働き掛ける必要がある。

 第三国にいる他国の高官を軍事攻撃でいきなり殺害する。今回の米国の行為はとても正当化できない。米国内でも、トランプ氏の判断を疑問視する声が上がっている。

 殺害計画は国防総省が示した対イラン方針の中で「最も極端な選択肢」で、トランプ氏はいったん却下した。だがその後、イラクの米大使館が親イランのデモ隊に襲撃されたことに激怒し、承認したという。

 トランプ氏は、司令官の殺害理由について「切迫した悪意ある攻撃を計画していた」と説明するが、その根拠は示していない。

 イラン国民が英雄視する司令官の殺害が招くリスクを十分に認識せず、感情にまかせて指示したのではないか。秋の大統領選に向けて、アピールしやすい「戦果」を求めたとの指摘もある。事実なら批判は免れない。徹底的な検証が必要だ。

 こうした中、イランは欧米などと結んだ核合意で制限されていたウラン濃縮を無制限に進めると宣言した。核合意は崩壊の瀬戸際に立たされた。そもそも米国の一方的な離脱が引き起こした事態とはいえ、核開発を本格化させるような姿勢は国際的な孤立状況を生じさせかねない。イランは踏みとどまるべきだ。

 日本政府は昨年末、中東地域に海上自衛隊を独自派遣する閣議決定をした。安倍晋三首相は年頭会見で、方針を変更しない考えを示した。

 情勢は緊迫している。事態がエスカレートすれば、戦闘に巻き込まれる危険は否定できない。政府は派遣の是非を再検討する必要がある。

 安倍首相は「日本ならではの外交を展開する」とも述べた。今こそ、仲介に努めるときだ。

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