社説

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 国際協調の足並みの乱れや大国同士の対立激化などを受け、世界の不透明感が一段と深まった1年だった。

 8月にフランスで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、首脳宣言の採択が初めて見送られた。トランプ大統領が「米国第一主義」を掲げ、他国との溝が埋まらなかったためだ。来年のサミットは大統領選を控えた米国が議長国を務める。存在意義を各国が確認し合うことから始める必要があるのではないか。

 核兵器を巡る世界の安全保障環境も悪化の一途をたどった。北朝鮮の非核化を巡る米朝協議は中断し、ミサイル発射実験を再開するなど北朝鮮は強硬姿勢を見せている。

 米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約は失効し、米国が核合意から一方的に離脱したことに反発したイランは核開発を拡大した。国際社会全体で自制を促さねばならない。

 丸腰の市民に警官が銃を向ける映像は世界に衝撃を与えた。香港の大規模な民主化要求デモだ。激しい衝突に巻きこまれるなどして犠牲者も出た。

 端緒となった逃亡犯条例改正案の撤回で香港政府は譲歩した。だが市民の多くは、中国の習近平指導部が香港の「一国二制度」を骨抜きにしようとする点に反発している。混乱の収拾は容易ではなさそうだ。

 長引く米中貿易摩擦も世界に影を落とした。両国は12月、協議の「第1段階」に合意したと発表したが、交渉の行方から目が離せない。

 一方、膠着(こうちゃく)状態が続いていた英国の欧州連合(EU)離脱問題では変化が見られた。12月の下院の総選挙で、ジョンソン首相率いる保守党が圧勝し、公約として掲げた来年1月末の離脱が確定的になった。

 今後の焦点は「移行期間」の来年末までにEUとの間で貿易協定をまとめられるかどうかだ。欧州だけでなく、世界経済の混乱回避にも関わる。

 日本は外交課題の多くを積み残している。日韓関係は戦後最悪とされる状態のままで、拉致問題やロシアとの北方領土交渉も進展が見られない。安倍政権は来年こそ、着実に成果を上げねばならない。

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