社説

  • 印刷

 「平成」が終わり、「令和」が始まった2019年。新時代への期待よりも、将来への不安を抱かせる出来事が記憶に刻まれた。

 多くの災害が列島を襲い、特に台風被害は甚大だった。千葉県などで大規模停電を起こした9月の台風15号に続き、10月は19号が関東から東北を縦断し、死者は90人を超えた。警戒区域外で発生した土砂崩れで犠牲が拡大した。地球温暖化の影響で気象災害は激しさを増しており指定基準の見直しが急務だ。

 10月からの消費税率引き上げは暮らしを直撃した。増収分を活用した幼児教育・保育の無償化が始まる一方で、年明けには介護保険や医療費の自己負担を増やす議論が本格化する。

 20年度予算案は総額102兆円超で過去最大に。増税しても国の借金は減らず、漫然と歳出拡大を続ける政府に、国民の不安と向き合う覚悟は見えない。

 悲痛な児童虐待事件が今年も相次いだ。「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」。1月、千葉県野田市で虐待死した小4女児が学校に発したSOSは父親に筒抜けだった。教訓はいつになったら生かされるのか。

 7月、36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件で、国内外のファンが怒りと悲しみに震えた。再起を願い33億円を超える支援金が寄せられ、被害者の実名公表や長期的な支援のあり方が改めて問われた。

 9月には、関西電力幹部ら数十人が高浜原発がある福井県高浜町の元助役から金品を長年受領していたことが発覚した。原発マネーの闇は深く、第三者委員会の調査は越年する。

 「表現の自由」にも危機が迫る。一部作品への抗議が殺到し、あいちトリエンナーレの企画展が一時中止に追い込まれた問題は、文化庁の補助金不交付や神戸市など他の自治体のイベント自粛、海外での芸術展の政府公認取り消しへと連鎖した。

 そんな中、多様な個性が結束する強さを示したのは日本初開催のラグビー・ワールドカップで8強入りした日本代表の姿だ。異なる価値観を認めず、いがみ合う社会は危機にもろい。不安な時代だからこそ、寛容さを取り戻す必要がある。

社説の最新
もっと見る

天気(2月26日)

  • 14℃
  • ---℃
  • 20%

  • 10℃
  • ---℃
  • 60%

  • 14℃
  • ---℃
  • 10%

  • 12℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ