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 安倍晋三首相が中国で韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領との首脳会談に臨んだ。約1年3カ月ぶりである。

 関係悪化をもたらした元徴用工訴訟問題などでは双方とも原則論に終始し、議論は平行線をたどった。しかし重要なのは、対話を継続することだ。その点で両国の方針が一致したのが、今回の会談の成果といえるだろう。

 日韓は歴史・文化的に関係が深く、経済分野でも支え合ってきた。日本人拉致問題を含む北朝鮮への対応も、米国を含む連携が極めて重要だ。今回の会談を関係改善の一歩にしなくてはならない。

 首相は会談で元徴用工訴訟問題に関し、韓国最高裁の確定判決が1965年の日韓請求権協定に反すると改めて強調した。韓国側が解決策を示すべきとも指摘した。

 一方、文氏は問題解決の重要性に理解を示したものの、新たな提案はしなかった。

 問題の源流は、明治時代末期の日韓併合にある。朝鮮半島を植民地化した過去の歴史と向き合って、日本からも解決への知恵を出そうとする姿勢も必要ではないか。

 一方、韓国側が猛反発する半導体材料の輸出規制を巡っては、文氏が撤回を要求し、首相に「格別の関心と決断」を迫った。しかし首相は、安全保障上の理由との立場を重ねて説明するにとどまった。

 16日には貿易管理当局の局長級会合が開かれ、20日には日本側が規制を一部緩和している。両国経済の共存共栄に向けて話し合いを続けてもらいたい。

 首相は今回、中国の習近平国家主席と会談したほか、李克強首相や文氏との日中韓首脳会談などにも臨んだ。習氏との会談では、日中関係の改善が続いていることを評価するとともに、来春に習氏が国賓として来日するのに向けた環境整備を進めることで一致した。

 実現すれば、中国国家主席の国賓訪問は12年ぶりとなる。日中関係の改善を象徴する行事だ。しかし尖閣諸島問題や香港の抗議運動への強硬対応、ウイグル族への弾圧など、習指導部に対する批判は日本国内でも根強い。国賓招待には与党内にも反発がある。

 今回、首相は問題への対応改善を促したというが、国賓招待を最優先したのではとの疑念は拭えない。習体制の強権姿勢について、きちんと批判すべきだった。

 日中韓の関係強化は、東アジアの平和や地域の安定にとって不可欠である。北朝鮮の非核化を巡る米朝交渉が停滞する中、3カ国の連携を強めるための努力を、それぞれの首脳はさらに重ねる必要がある。

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