社説

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 政府は2020年度当初予算案を閣議決定した。一般会計の総額は102兆6580億円と8年連続で過去最大となる。

 100兆円超えは2年連続だが、19年度は10月の消費税増税に伴う約2兆円の臨時・特別の措置を除けば99兆円台に収まっていた。20年度は臨時対策の約1兆7800億円を差し引いても大台を超える。

 借金頼みの構図に改善がみられないまま、増額一辺倒の「100兆円予算」が常態化しつつある。

 人口減少に直面するこの国にとって「身の丈」に合った予算規模と言えるのか。将来世代にツケを回し、歳入歳出改革に背を向けた予算編成と言わざるを得ない。

 歳出を押し上げる最大の要因は、社会保障費の増大だ。高齢化による伸びは約4100億円に抑えたが、全体では1兆7302億円増となった。「全世代型」への転換をうたう安倍政権の看板政策である教育・保育の無償化が積み上がった。

 防衛費は、米トランプ政権の要求に沿った高額装備品の導入などで約5兆3千億円と8年連続で増え、過去最大を更新する。

 公共事業関係費は19年度並みを確保し、災害対策を重点的に進める。ただ、地方の人手不足は深刻で予算が消化しきれない恐れもある。

 これらを賄う税収は、消費税増税分の上積みで過去最高の63兆5130億円を見込む。19年度より1兆180億円の増収となるが、これを上回る額をポイント還元制度やインフラ整備などの景気対策に注ぎ込み、増収分を食いつぶす形だ。

 国の借金に当たる新規国債発行額は、税外収入をかき集めることで前年度からの減額を維持した。財政健全化の旗印は下ろさない、と言いたいのだろう。

 だが、政策経費を借金以外の財源で賄えているかを示す基礎的財政収支は9兆2047億円の赤字で、3年ぶりに前年度より悪化する見通しだ。増税しても財政健全化が進まない状況は国民には納得しがたい。政府は財政再建の道筋を具体的に示す責任がある。

 第2次安倍政権の発足以降、税収の増加傾向が続く。しかし、企業収益を後押しすることで税収増につなげてきたアベノミクスの戦略にも陰りが見え始めた。

 19年度の税収見通しは当初より2兆円減の60兆円程度に下方修正された。経済成長率1・4%を前提とする20年度の見通しも、民間からは「楽観的」と指摘されており、下振れすれば収支はさらに悪化する。

 厳しい現実を見据え、政府は持続可能な社会保障と財源確保のあり方に正面から挑むべきだ。

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