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 トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案が下院本会議で野党民主党の賛成多数で可決された。来年1月上旬にも、上院で不正の有無を判断する弾劾裁判が始まる。

 米大統領の弾劾訴追は、1868年のアンドルー・ジョンソン氏、1998年のクリントン氏に続き3人目となる。裁判の結果がどうあれ、トランプ氏は米国の政治史に不名誉な存在として記憶されることになった。

 決議には「権力乱用」と「議会妨害」の二つの弾劾条項が盛り込まれている。前者は、トランプ氏が来年11月の大統領選を有利に進めるため、軍事支援などを見返りに対立する民主党の有力候補のスキャンダル探しに協力するようウクライナ政府に圧力をかけたとの疑いだ。

 後者は、下院の弾劾調査に協力しないよう政府高官らに指示したなどという中身である。

 トランプ氏は「民主党のひどいうそだ」と猛反発している。だが、疑惑が事実ならば、大統領選に外国を介入させようとするなど米国の民主主義の根幹を揺るがしかねない内容だ。裁判では党利党略を超えた徹底的な審議が求められる。

 ただ、弾劾裁判で大統領を罷免するには出席議員の3分の2の賛成が必要となり、与党共和党が多数を占める上院ではかなりハードルが高い。これまでに罷免された大統領はおらず、今回も無罪の公算が大きい。

 民主党は「大統領は国家の安全保障、民主主義の基礎である公正な選挙への脅威」と訴え、弾劾手続きを進めてきた。無党派を含めた反トランプ勢力結集の狙いもあったとみられる。

 だが、賛成の民主党、反対の共和党という構図は動かず、米世論も二分されたままで、弾劾への支持に広がりは見られない。大統領選に向けて、米国政治の混乱と党派的対立が一層深まるのは間違いない。

 裁判を通じ、トランプ流の政治が米国の民主主義や国際協調にどんな悪影響を及ぼすかを明らかにすることも重要だ。

 再選を狙うトランプ氏が支持層にアピールするため、外交面で強硬姿勢を強める懸念は否定できない。国際社会は連携を密にし、米国の動向を注視する必要がある。

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