社説

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 かんぽ生命保険と日本郵便による保険不正販売問題で、外部の弁護士らでつくる特別調査委員会が報告書を公表した。

 顧客に不利益を与えた可能性のある契約は約18万3千件。それだけでも異常だが、うち法令や社内規則に違反した疑いは約1万3千件と、9月の中間報告の2倍以上に膨れ上がった。

 契約者の7割超を60歳以上が占める。言葉巧みに、時には強引に、高齢者を勧誘する。そうした営業行為が黙認され、多くの社員に模倣され、全体に広がったと、報告書は指摘する。

 関わった誰もが罪深さを自覚していなかったと言うしかなく、改めて憤りを覚える。

 金融庁は年内にも一部業務停止命令を出す方針だ。顧客軽視の体質を根絶しなければ、信頼回復と再生は望めない。

 報告書によると、背景には達成困難な営業目標があった。現場への圧力が高まり、資産を持つシルバー層に保険の乗り換えを勧め、新旧契約を併存させて保険料を二重払いさせるなどの手口が浸透したとされる。

 違反の疑いが指摘された契約のうち、現時点で法令違反や社内規則違反が確認されたのは670件にとどまる。だが判定が終了したのは一部で、さらに拡大することは間違いない。

 日本郵政の長門正貢社長ら日本郵政グループの3社長は「大きな責任を感じている」としたが、進退について明言は避け、会見も一方的に打ち切った。

 不正まん延の責任は上層部にある。顧客を裏切った深い反省が、言動からはあまり伝わらない。企業風土を刷新するには経営陣の交代が不可欠だ。

 驚くのは、成績不振の社員を「寄生虫」呼ばわりしたり、土下座させたりするなどのパワハラが現場で横行していたことである。労使関係の「ゆがみ」が顧客軽視の意識や不正のまん延につながったとも言える。

 顧客との交渉の録画や新規契約の獲得に偏った手当の見直しなど業務改善も必要だろう。同時に、風通しの良い企業へと転換を図らねばならない。

 いち早く問題を報道したNHKに抗議した副社長など、日本郵政に多くの幹部を送り込んでいる総務省も、監督官庁として責任の重さを痛感すべきだ。

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